兵庫県議会から不信任決議を受けた斎藤元彦知事(46)は26日、臨時記者会見を開き、地方自治法の規定に基づき、30日付で失職した上で、出直し知事選に出馬する意向を表明した。斎藤氏は「知事の仕事をまだまだ続けたい」と述べ、斎藤県政への評価を争点に、県民に信を問う考えを示した。
一方、県議会各会派は対決姿勢を強めている。最大会派の自民党や「維新の会」などは斎藤氏への推薦を否定。独自候補の擁立を目指す方針だ。投開票は11月10日か17日になる見通し。
斎藤氏は会見で、自身のパワハラ疑惑などを受けた県政の混乱について「結果的に私に大きな責任がある」としたが、「仕事をしていくことも責任の果たし方だ」と強調。県立大学の無償化や財政健全化などの実績を挙げて「改革を止めるわけにはいかない」と述べた。辞職と議会解散については「選択肢になかった」と明かした。
同法によると、不信任を受けた首長は10日以内に議会を解散しなければ失職する。今月29日が判断の期限となっていた。斎藤氏が再選された場合、任期は4年間。
県議会は6月、調査特別委員会(百条委員会)を設置し、斎藤氏がパワハラ疑惑などを文書で告発された問題を調査してきた。今月19日の県議会本会議では、「県政に長期にわたる深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」とする不信任決議を全会一致で可決。これに対し、斎藤氏はパワハラなどを認めず、続投に強い意欲を示していた。
総務省によると、知事への不信任が可決されたのは斎藤氏で5例目。過去4回のうち、知事が議会を解散したケースはない。失職後、知事選に出馬し、再選を果たしたのは長野県の田中康夫氏だけだ。
斎藤氏は神戸市出身で東大経卒。2002年総務省に入り、宮城県財政課長や大阪府財政課長などを経て、21年7月の兵庫知事選で初当選した。
[時事通信社]