被団協がノーベル平和賞に選ばれた効果で、広島市の広島平和記念資料館の入館者数が大きく伸びている。受賞が決定した10月は、月別で過去最多となる27万人超が訪れた。資料館は混雑緩和の対策を進める。
資料館は1955年に開館し、被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料などを展示。昨年5月に広島市で先進7か国首脳会議(G7サミット)が開かれ、昨年度の入館者数は198万1782人(前年度比85万5401人増)と開館以来で最多となった。
10月11日の受賞決定直後の3連休は、歩くのも難しいほど館内が混み合った。この3日間で2万7511人が訪れ、昨年を約3割上回った。10月の入館者数は前月より約4割、前年同期より14%多い27万1923人。今年度は10月までの7か月間ですでに約146万人に達し、初の200万人超えが視野に入る。
市は混雑対策に力を入れる。資料館は今年3月から開館時間を朝夕各1時間延長しており、市は受賞決定後の10月17日からホテルや広島駅の観光案内所などにチラシを配り、比較的すいているこの時間帯の来館を呼びかけている。さらに、2027年を目標に、資料館の地下に修学旅行生らを対象にした新たな展示スペースを設ける方針を固めた。
市平和推進課は「授賞式でさらに入館者が増えることが期待できる。より多くの人に被爆の実相を知ってもらえるよう対策を進める」としている。