「判断は司法で」百条委報告もどこ吹く風の斎藤知事 「わいせつ文書」発言で一歩踏み込み

「一連の対応に問題はなかった」。兵庫県の斎藤元彦知事は5日の記者会見で、自身のパワハラ疑惑などを記した告発文書の内容を「一定の事実」と認めた県議会調査特別委員会(百条委員会)の報告書の受け止めを問われ、従来主張を繰り返し、正当性を強調した。「議会の見解をしっかりと受け止める」としつつ、百条委の結論とは平行線をたどった形だ。
報告書は同日午前に本会議で了承。午後の定例会見に臨んだ斎藤氏は、報告書の内容を踏まえて「改めるべきところは改める」と述べ、贈答品受領のルール作りやハラスメント研修を行う考えを示した。
一方、「告発者捜し」を側近幹部に指示し、元県民局長の男性と特定した上で懲戒処分とした県の初動対応については、「法律違反の可能性もある」と報告書で厳しく批判されたが、斎藤氏は「内容、手続きとも問題がない。意見は分かれると思うが、県としては違法性の問題はなく、適切だったと考える」と反論した。
斎藤氏がこの日の会見で何度も言及したのが、元県民局長の公用パソコンに残されたデータの内容だ。「倫理上極めて不適切な、わいせつな文書を作成していた」と明かし、処分は適切だったと訴えた。
これまで元県民局長の処分理由の一つに「業務と関係ない私的文書を多数作成した」ことが挙げられていたが、内容までは触れられていなかった。斎藤氏は「わいせつ文書」という発言でそこから一歩踏み込んだ。
元県民局長は昨年7月に死亡しており、会見ではその名誉を不必要におとしめることにならないかと質問が飛んだが、斎藤氏は「倫理上極めて問題があるという(文脈の)中で、わいせつな文書だということを申し上げた」と強調。報告書が公表されたタイミングで内容を公にした理由は明言しなかった。
報告書は、斎藤氏が職員に強い叱責(しっせき)をしていた事実を認定し、「パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった」と指摘したが、斎藤氏は「あくまで業務上必要なところで注意した」とここでも従来の主張を譲らず、「パワハラかどうかは最終的に司法の場が認定することだ」とした。
結局、斎藤氏のこの日の見解は百条委の結論とは相いれず、「自分の考えを変えないのは(報告書に対する)ゼロ回答では」と記者から問われたが、「主張すべきポイントはしっかりと主張することが大事」と語った。
報告書に対する斎藤氏の受け止めが示されたことで、今後は県議会の反応が焦点となる。
県議会は昨年9月、斎藤氏に対する不信任決議案を全会一致で可決。斎藤氏は議会解散を選択せずに失職し、同11月の知事選で再選された。(兵庫県知事問題取材班)

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