「暴行の立証不十分」 4歳児死亡で母親の元交際相手無罪 奈良地裁

奈良県橿原市で2年前、4歳だった女児に暴行して死なせたとして、傷害致死と傷害の罪に問われた母親の元交際相手、山下翔也被告(28)に対し、奈良地裁は19日、無罪(求刑・懲役8年)を言い渡した。澤田正彦裁判長は「暴行を加えたとする立証が不十分だ」と判断した。
被告は2023年6月18日、母親の自宅で田川星華(せいか)ちゃんの腹に暴行を加え、十二指腸に穴が開いたことによる腹膜炎で翌19日に死亡させたとして起訴された。5月4日には星華ちゃんの顔に全治約2週間のけがをさせたとされた。被告は「暴行していません」などと無罪を主張していた。
判決は傷害致死罪について、被告と星華ちゃんが事件当時、部屋で2人きりだったとする母親の証言を検討した結果、「複数回にわたる変遷があり、信用性に疑問がある」と指摘した。
そのうえで、被告の携帯電話にあった「内臓破裂」などの検索・閲覧履歴に関しては「被告が意図的に検索していたかは判然としない」と言及。事件に関わった決め手にはならないとし、「被告以外が暴行を加えた可能性が排斥されていない」と述べた。
一方、傷害罪についても、星華ちゃんが自身でチャイルドシートにぶつかって負傷するなどした可能性があると判断した。
判決を受け、奈良地検の大前裕之次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応する」との談話を発表した。【木谷郁佳、田辺泰裕】

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