名古屋大大学院理学研究科付属臨海実験所(三重県鳥羽市)の自見直人講師(33)=系統分類学=が発見した新種のゴカイ「ケショウシリス」が、国際的な海洋生物データベースWoRMS(World Register of Marine Species)が選ぶ「世界の注目すべき海洋生物の新種トップ10in2024」に選出された。
ケショウシリスはミミズをはじめとする環形動物のゴカイの仲間。海岸の岩のすき間や泥の中で生息している。貝殻を体内に取り込んで進化した巻き貝の仲間であるウミウシに色や形がよく似ている。鳥羽市の菅島で21年、自見講師が地元漁師から体長5ミリほどのゴカイを提供され、新種と分かった。
国際共同研究チームは昨年、ゴカイがウミウシに擬態することを世界で初めて確認した。ケショウシリスもウミウシのような色鮮やかな外見を持つことから、生物名に「化粧」を盛り込んだ。
ウミウシに似た外見から何らかの捕食回避などの利益を得ていると推測されるが、詳細なメカニズムはまだ分からず、研究が進められている。自見講師は「世界中の人がケショウシリスの不思議さに注目してくれてうれしい。今後も『あっ』と驚くような『変な』海洋生物の新種を見つけ続けていきたい」と話している。【真貝恒平】