ライブ配信中だった20代女性が、白昼堂々、刺殺された事件が話題になっている。背景には金銭トラブルがあったと報じられていることから、SNS上では動機の考察を含めて、さまざまな声が上がっている。
【画像4枚】殺害された女性のアカウントには、当日のイベント企画を告知する文言が…
ネットメディア編集者として10年以上、SNSにおけるコミュニケーションを見てきた立場からすると、年を追うごとに、注目が経済価値を帯びる「アテンションエコノミー」の存在感は増している。そこに加えて、技術の進歩によって、いわゆる「ライバー」と呼ばれる動画配信者の参入障壁も低くなりつつある。
こうして誰しもが稼げるようになった弊害として、筆者は「リアルと虚像」が入り乱れ、距離感にバグが生まれている可能性はないかと考えている。そして凶行が起こる前に、動画配信サービスを運営する、プラットフォーム企業ができることはなかったのかと無念に思うのだ。
加害者は「被害者と金銭トラブルが存在した」と供述
2025年3月11日午前、動画配信サービスで生配信をしていた22歳の女性が、東京・高田馬場の路上で刺殺された。襲った容疑者(42)は、その場で現行犯逮捕され、被害者と金銭トラブルが存在したと供述しているという。
各社報道によると、容疑者は被害者に200万円以上を貸し、過去には返還を求める民事訴訟も起こしていた。裁判は容疑者側が勝訴したが、その後、被害者側から支払われることはなく、今回の事件に至ったとされる。
SNS上では、「配信中の殺人事件」とあって事件発生の当初から、注目を集めていた。
また被害者や容疑者の背景が伝えられるにつれ、その複雑な関係性もまた、話題になっている。とはいえネットユーザーの大多数は、「どんな理由があろうとも、殺人はしてはならない」の論調だ。筆者もまた、同様の価値観を持っている。
被害者は、動画のライブ配信によって収入を得る「ライバー」だった。ライバーは視聴者からの「投げ銭」を収入にするパターンも多く、トークや歌唱・演奏、ゲーム実況など、その手段は多岐にわたる。
なお、「投げ銭」と言っても、大道芸のようにお金を直接渡すのではなく、有料アイテムを購入して、それをプレゼントする。そして配信者は、アイテムに応じた報酬を得る形が一般的だ。当然ながら、プラットフォーム企業は、その過程で手数料を取る。
参入者が増えるほど「カネになる虚像」が作られる