「紀伊国屋書店」の店長だった男性が、脳内出血を発症して後遺障害が残ったとして、約1億円の損害賠償を書店側に求めた訴訟の判決で、大阪地裁は24日、約5600万円の支払いを命じた。村上貴昭裁判官は過重な業務によって発症したとし、「従業員の健康に注意する義務に違反していた」と判断した。
判決によると、男性は2017年9月から大阪府高槻市内の店舗で店長として勤務していたが、19年12月に高血圧性脳内出血を発症し、右半身にまひが残った。
男性は入院治療を経て約9カ月後に職場復帰。右手足を動かせなくなった影響で、メモを取れずに電話対応が難しくなるなど業務に大きな制約が生じていると訴えていた。
判決は、発症前6カ月間の残業が月平均81時間を超えていたと認定。通常の業務に加え、店舗改装に伴う仕事が重なっていた状態だったとし、脳内出血について「業務によって著しく増悪して発症した」と判断した。
そのうえで、書店側が漫然と時間外労働をさせていたと指摘。疲労や心理的負担により、従業員が心身の健康を損なうことがないよう注意する義務に反したと認定した。【木島諒子】