人事院の有識者会議「人事行政諮問会議」(座長・森田朗東大名誉教授)は24日、国家公務員の人材確保に向けた最終提言をまとめた。キャリア官僚らの給与を「従業員1000人以上」の大企業並みに引き上げる改善策を盛り込んだ。民間企業に見劣りしない水準とし、優秀な人材を確保しやすくする狙いがある。
人事院は毎年、民間の給与と均衡させる形で国家公務員の給与改定を勧告しており、現状は「50人以上」の企業を比較対象としている。提言では、政策立案などに関わるキャリア官僚らは「業務の困難性や特殊性において、少なくとも1000人以上の企業と比較すべきだ」と明記した。国家公務員全体も「100人以上」の企業と比較すべきだとし、いずれも2025年度中の見直しを促した。
人事制度を巡っては、現状の評価制度の効果を検証することや、能力を発揮できなかった場合に元の役職に戻す「条件付き昇任期間」を延長し、抜てき人事を行いやすくする改革を3年以内に実施するよう求めた。短時間勤務の拡大や裁量労働制の導入、フルリモート勤務を含めたテレワーク促進などの勤務環境改善も3年以内に進めるべきだと指摘した。
諮問会議は23年、若者の国家公務員離れを受けて27年ぶりに設置された。