13日に開幕する大阪・関西万博は、国内で20年ぶりとなる大規模博覧会だ。その成否は2年後に続く「次の万博」、横浜市が舞台の国際園芸博覧会(園芸博)にも影響を及ぼす。評価が高まれば追い風になるが、停滞が続くと批判の矛先が向きかねない。横浜の関係者は期待と不安を胸に、賛否が渦巻く大阪の行方を注視している。
「万博の全容が見えてくれば風向きは変わるはず」
園芸博の運営主体、国際園芸博覧会協会の幹部はそう話す。開幕直前までベールに包まれていた展示内容が交流サイト(SNS)などで拡散され、好感が広がっていくとみる。
万博が軌道に乗れば、園芸博の機運も盛り上がるとの期待は大きい。
県が昨秋実施した県民調査(有効回答1263人)では、園芸博を「知っている」は23%、「聞いたことがある」は11%にとどまり、6割強が認知していない実態が浮かび上がった。関係者の間には、万博の「成功」を機にPR活動を加速させたいとの思惑が働く。
ただ、万博には厳しい視線が注がれている。大半を公費で賄う会場建設費は、当初想定の倍近い2350億円に膨らんだ。舞台となる大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)は交通アクセスが貧弱で、防災面の不安が拭えない。チケット販売も伸び悩んでいる。
マイナスイメージがつきまとう万博を教訓に、横浜の関係者は園芸博が矢面に立たないよう神経をとがらせてきた。
時代の変遷を背景に万博の開催意義そのものが問われる中、園芸博は主要テーマを環境に設定。「新しいグリーン万博」をうたい、従来との差別化を図った。展示施設を指す「パビリオン」という単語の使用も避けている。万博でやり玉に挙がった建設費344億円のシンボル「大屋根リング」などを念頭に、過度な支出も控える方針だ。
今後は360億円と試算した運営費を見直し、主な資金源となる入場チケットの価格を設定した上で、前売り券発売の局面を迎える。ある関係者は「販売手法でつまずいた大阪と同じ轍(てつ)は踏まないようにしたい」と強調し、本音を漏らす。
「マイナスからスタートする万博は大過なく終わりさえすれば『成功』。それ以上は望まない」