22日に投開票された東京都議選では、国民民主党が初議席の壁を一気に突破して9議席を獲得し交渉会派入り(従来取り決めのめどは5人以上)を確実にした。来月行われる参院選に向け大きな弾み。東京と隣接する神奈川の同党関係者は「党勢に左右されない活動を重ねて統一地方選などにもつなげたい」(小粥康弘県連代表)と意気込んだ。
「高い目標だけど、まずは5人出したい。それが9人も当選させていただいた」。大勝から一夜明けた23日、横浜駅西口で行った街頭演説で国民民主の榛葉賀津也幹事長は都議選の勝利を宣言した。
演説後、記者団に囲まれた榛葉氏は「交流サイト(SNS)上の風評に負けない支援者の存在は心強かった」とし、「無風、逆風の中でも足腰や体力を付けての勝利はべらぼうに大きい」と興奮気味に語った。
勝因を問われると「手取りを増やす」との訴えが浸透したことを挙げ、「国民は(自民党が参院選の公約とする)給付金2万円が欲しいのではない。継続的に生活できる持続可能な家計支援が欲しい」と指摘した。参院選に向けて「『手取りを増やす夏』を訴えたい」と意欲を示した。
今年は12年に1度の都議選と参院選が重なる年で注目度は高かった。国民民主を巡っては都議選を前に山尾志桜里元衆院議員の参院選公認取り消しなどの問題が発生。報道各社の世論調査の支持率が軒並み低下し、同党関係者の間でも苦戦の予測が広がっていた。
結果は、自民が過去最低の議席数となるなど、各党が苦戦する中で国民民主が「主要政党では独り勝ち」(自民幹部)となった。
1議席を死守できなかった日本維新の会の金村龍那幹事長代理はSNSに「正直言い訳できないほどの惨敗。党の基盤が崩壊し底が抜けたというのが率直なところだ」とつづった。
ある現職閣僚は「国民民主の候補が自民から離れた保守層の有力な受け皿となった」と分析。「自民は国民民主の問題が追い風になると皮算用していたが、自分たちの『政治とカネ』の問題の逆風がそれ以上に厳しいという現実に気づいていなかった。都議選に続く参院選には相当な覚悟で臨む必要がある」と話した。