「半年は短いようでいろんな思い出が」… 大阪・関西万博 撤収作業始まる

184日間にわたり大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で開かれた大阪・関西万博の閉幕から一夜が明けた14日、朝からパビリオンや場内のショップなどで撤収作業が始まった。喧噪(けんそう)に満ちた前夜の様子からは一変し、静けさに包まれた会場内では、働いていたスタッフらが、万博での半年間の思い出をそれぞれかみしめていた。
会場内ではトラックが行き交う中、手際よく撤収作業が進められ、関係車両の走行音やキャスターを引く音だけが響いた。連日来場者が行列を作ったパビリオンも、中の展示品などが次々と外へ運び出され、豪華な外観の建物だけが静かに残る。会期中は人混みで建物全体をじっくり見渡すことはできなかったが、どれも芸術性の高い建物で、取り壊されることへの実感がまだ湧いてこない。
前夜まで大勢の人で埋め尽くされていた万博のシンボル、大屋根リング下もこの日は関係者がまばらに歩くのみ。リングを支える木の柱だけがずっと先まで並んでいるのを見通すことができ、「世界最大の木造建築」の大きさをやっと感じる。リング下を歩く関係者の中にはリングをねぎらうように優しく柱をなでる人や、名残惜しそうにリングの隅々まで見渡す人の姿もあり、それぞれに会場への思いをはせているように見えた。
閉幕後の会場に訪れた関係者の中には、パビリオンやショップなどで働いていたスタッフも多くいた。閉幕日の夜まで会場で働いていたスタッフもいたが、その表情からは疲労感ではなく誇らしさや達成感がにじんでいるように思えた。
会場内の飲食店で働いていたという女性(47)は「半年間は短いようで、いろんな思い出がある。スタッフたちとももう会えないし、名残惜しくて」と会場内を散策。仲間と記念撮影をしたり、店内で打ち上げをしたりする人たちも見られ、万博をきっかけにできた人と人のつながりが目に見えた。(堀口明里)

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