東京・羽田空港で13日夜、岩国行きの全日本空輸639便が離陸後に同空港へ引き返したトラブルで、639便が離陸の際に約800メートルにわたり滑走路脇の灯火計18基を破損させながら滑走したとみられることがわかった。D滑走路(全長2500メートル)では、今年4月にも日本航空機が離陸前に灯火と接触して緊急停止するトラブルがあり、国土交通省は、滑走路の中心線を取り違えて滑走したとみて調べている。
国交省などによると、639便は13日午後9時頃、同空港のD滑走路から離陸したが、灯火に接触した可能性があるとして、同空港に引き返し、同10時頃に着陸した。乗客・乗員計174人にけがはなかった。639便の前輪タイヤ2本は損傷しており、誘導路上で自走できなくなって牽引車で搬出された。
639便が離陸に向けて滑走したのは、幅約60メートルある滑走路の中心ではなく、約30メートル左にずれた滑走路の左端付近とみられる。639便の離陸後、滑走路左脇では約800メートルにわたり、いずれも高さ約30センチの「滑走路灯」(白色)16基と「誘導路灯」(青色)2基の計18基が破損しているのが確認された。
D滑走路の中心には埋め込み式の「中心線灯」(白色)があるが、滑走路の舗装改良工事のため今年3月から中心線灯の一部を消した運用が続いている。13日夜は、639便が離陸に向けて滑走を始めた周辺の中心線灯は消えていたという。中心線灯が一部消える運用については、国交省が航空各社などに通知していた。