岸田首相の選挙演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、和歌山県警は31日、火薬類取締法違反容疑で再逮捕した無職木村隆二容疑者(24)を首相らに対する殺人未遂容疑や、人に危害を加える目的で爆発物を使用・製造した際に適用する爆発物取締罰則違反容疑などで追送検した。捜査関係者への取材でわかった。爆発物に殺傷力があることが確認されたという。
和歌山地検は刑事責任能力を調べるため、木村容疑者の鑑定留置を実施している。期限となる9月1日にも木村容疑者は大阪拘置所から県警の留置施設に移送される見通しで、地検はその後、起訴の可否などを判断する。
木村容疑者は和歌山市の漁港で4月15日午前、応援演説に訪れた首相に向けて筒状の爆発物を投げ込んだとして、威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された。現場では投げ込まれた爆発物と似た形状の筒がもう1本押収された。首相にけがはなかったが、近くにいた聴衆ら2人が負傷。県警は、爆発物に使う火薬を密造したとする火薬類取締法違反容疑で5月6日に再逮捕した。
捜査関係者によると、県警は爆発物の構造や威力の鑑定を実施。現場で押収したもう1本の筒の構造なども調べた結果、投げ込まれた筒は、中に火薬を詰めて蓋で密閉する「パイプ爆弾」で、殺傷力があったと判断したという。木村容疑者は取り調べに一貫して黙秘しているが、県警は、鑑定結果などから殺意の立証は可能と判断したとみられる。