36人が死亡、32人が重軽傷を負った令和元年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた青葉真司被告(45)の犯行動機について、検察側は5日に京都地裁(増田啓祐裁判長)で始まった裁判員裁判の冒頭陳述で「筋違いの恨みによる復讐(ふくしゅう)」と指摘した。京アニの作品募集に応じて、10年間をかけて書いた「渾身」の小説を出したが、あえなく落選させられ、「盗用された」と妄想を募らせたとした。
検察側の冒陳によると青葉被告は30代の前半ごろ、人間関係がうまくいかず無職となり、このころ京アニの作品に感銘を受けたことで、小説家やライトノベル作家を志すようになった。
しかし小説を書いても納得がいかず、「執筆→消去」という作業を繰り返しているうちに自暴自棄になり、コンビニ強盗事件を起こして服役。それでも小説のアイデアは書きため続け、出所前のアンケートには、将来の目標として「作家デビュー」と記していた。
出所後ついに「金字塔」の作品を完成させた。青葉被告にとっては「10年かけた渾身の力作」(検察側冒陳)だったというが、平成29年の作品公募「京アニ大賞」に応募するも落選。小説家志望者が集まる掲示板にも投稿したが、そこでも反応がなく、失望を募らせたことが事件につながったとした。