2018年に死刑が執行されたオウム真理教松本智津夫元死刑囚=執行時(63)、教祖名麻原彰晃=の遺骨や遺髪を引き渡すよう次女が国に求めた東京地裁での訴訟で、遺骨などについて次女側が保管の場所や方法を示しておらず、次女ら関係者の安全性に懸念があると国側が主張していたことが3日、分かった。国側が請求棄却を求めた具体的な理由が訴訟記録から明らかになった。
訴訟記録によると、次女側は最高裁での結果を踏まえ「(国側が)条件に応じなければ渡さないとの態度を取り、議論しなければならない状態になること自体が非常に不当」と主張している。
同年11月の国側の答弁書は次女側との面談などを通じ、真摯な姿勢が示されなかったと指摘。元死刑囚が無差別大量殺人行為である松本サリン事件や地下鉄サリン事件を起こした点などを踏まえ(1)次女らの安全性確保(2)オウム真理教の後継団体の危険性増大―などについて懸念が解消されず、「社会秩序維持などの観点から到底看過し難い弊害が生ずる」とした。