別府ひき逃げ 父親らが殺人容疑で告訴 5万人超の署名も提出

2022年6月に大分県別府市で信号待ちのバイクに車で追突し、2人を死傷させて逃走したとして警察庁が道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で重要指名手配した八田與一(よいち)容疑者(27)=同県日出(ひじ)町=について、亡くなった男子大学生(当時19歳)の父親らが21日、殺人と殺人未遂の両容疑で県警に告訴状を提出した。殺人容疑などでの捜査を求める約5万2000人分の署名も提出。県警は同日付で告訴状を受理した。
事件は22年6月29日夜、別府市の県道交差点で発生。信号待ちをしていた2台のバイクに軽乗用車が追突し、バイクに乗っていた大学生が死亡し、別の男子大学生(21)も軽傷を負った。軽乗用車を運転していた八田容疑者は応急処置や警察への届け出をせず、車を放置して現場から逃走した疑いがある。
八田容疑者に殺人容疑などの適用を求めた根拠について、被害者遺族の代理人弁護士は、現場にブレーキ痕がなく、制限速度(時速40キロ)を大きく超えた状態で追突したと推測されることや、事件直前にトラブルがあったとみられることなどを挙げた。ひき逃げ容疑の時効は発生から7年だが、殺人容疑には時効がない。
亡くなった大学生の父親は、告訴状提出後の取材に「凶器を車にした殺人。(県警には)より一層、容疑者確保に全力を尽くしてほしいと伝えた」と話した。
県警は22年7月に八田容疑者を指名手配したが、事件から1年以上がたった今も行方は分からない。警察庁は8日付で、事件の状況を「殺人に近いとみている」などとして、道交法違反の容疑者としては初めて重要指名手配に指定した。【井土映美】

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