イスラエルから退避「身の危険感じた」 自衛隊機が羽田到着

イスラム組織ハマスとの戦闘が続くイスラエルから退避する邦人ら83人を乗せた自衛隊機が21日未明、羽田空港に到着した。戦地から避難してきた人たちは、日本の地を踏んで「安心という言葉以外思い浮かばない」とほっとした表情を見せた。
自衛隊機は21日午前3時15分ごろ、羽田空港に到着した。防衛省によると、搭乗していたのは邦人60人とその外国籍の家族4人、韓国人18人とその外国籍の家族1人。スーツケースやボストンバッグなど大きな荷物を抱えた親子の姿が目立ち、疲れた表情で入国審査を受けた。
イスラエル人の夫と結婚して現地で暮らすエルリフ修子さん(47)は、10~17歳の子ども4人と帰国した。住んでいたイスラエル北部の街では戦闘機が飛ぶ音を聞きながら生活を送り、爆発の振動で自宅が揺れたこともあった。「ストレスの日々だった。帰国できて安心した」と振り返る。
夫は現地に残り、家族は離れ離れになった。子どもの安全を最優先に考えたうえで帰国を決めたといい、エルリフさんは「危険が及ぶ前に帰国する最後のチャンスだった。子どもに日本で普通の安心した生活を送らせたい」と語った。
イスラエル中部に住んでいた40代女性もイスラエル人の夫を残し、子ども5人を連れて帰国した。「日本に帰ってこられて安心はしたが、イスラエルに生活がある。今でも帰ってきてよかったのか分からない」と複雑な心境を明かす。
現地に10年住んでおり、たびたび戦闘はあったものの「ここまでの規模は初めて。身の危険を感じた」。今後、横浜市の実家に身を寄せるが、現地の情勢は先行きが見えない。「残っている夫や日本人の友人が心配で、先に避難したことに罪悪感がある」と不安そうに語った。
自衛隊機は現地時間19日(日本時間20日未明)にイスラエルの空港を出発し、隣国ヨルダンを経由して日本に向かった。防衛省は今後の輸送任務に備えて、輸送機2機をヨルダンとアフリカ東部のジブチに待機させている。【島袋太輔】

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