中古車販売大手・ビッグモーターから購入した中古車に水没の痕跡があったとして、群馬県館林市の医薬品販売会社が購入代金など約350万円の返還を求めた訴訟で、前橋地裁太田支部の沢井真一裁判官は「転売時に注意義務を著しく怠った」として、ビッグモーターに約293万円の支払いを命じた。同社のずさんな管理体制が浮かび上がった格好だ。
20日の判決によると、中古車を売ったビッグモーター館林店は無償修理に応じず、30万円程度での買い取りや、新たな車の購入を提案。応対を受けた館林市の会社の社長は「対応が不誠実」として拒否し、提訴した。
判決では、館林店が以前の所有者から車を購入した時点で、水没した車は将来的に重大な問題が発生する可能性が非常に高いうえ、書類に不審な点があったとして、整備状況や修復歴を慎重に確認する必要性があったと指摘した。
男性社長は判決について、読売新聞の取材に対し「納得できる結果だ。膨大な数の被害者が泣き寝入りしていると思うと許せない」と話した。ビッグモーターは「個別の案件に関しては回答を控える」とした。
一方、ビッグモーターも館林市の会社が契約終了後も代車を使ったとして約180万円を請求する訴訟を起こし、沢井裁判官は会社がビッグモーターに約90万円を支払うよう命じた。
車の買い取り業者によると、乗用車はタイヤが水につかった程度でもエンジンに浸水した可能性があり、エンジンがかかっても危険だという。フロアマットより上までつかると、内装をすべて交換しても臭いが消えず雑菌も繁殖してしまうため、廃車になるという。