静岡県富士宮市の「富士脳障害研究所付属病院」で男女3人が死亡した事件で、妻と娘を刺した後に自殺したとみられる同県富士市の無職の男(73)が、今年3月に妻が脳 梗塞 で倒れるまで長年、妻と2人で頻繁に長女の看病に訪れていたことが近隣住民の話でわかった。県警は男が将来を悲観し、事件を起こしたとみている。
県警によると、死亡したのは男の妻(72)と長女(40)。男は27日午後、2人を刃物で刺した後、自殺を図ったとみられる。県警は28日、妻子の死因は胸を刺されたことによる失血死と発表。2人とも意思疎通が困難な状態だったといい、身を守ろうとした「防御創」はなかった。
近隣住民によると、約20年入院していた長女は寝たきりの状態で、夫婦は2日に1回ほどの頻度で病院に通っていたという。女性(78)は「散歩もお見舞いもいつも夫婦で一緒。支えあっていた」と話す。
しかし、男はここ半年ほどは、町内会の草刈りや自宅周りの片付けなどに出てこなくなったという。70歳代の知人女性は、「妻が入院してから家にこもるようになった」と話す。
捜査関係者によると、2人で娘の面倒を見ていたのが1人になり、将来を悲観したと県警はみている。