北海道・知床沖の観光船沈没事故で亡くなった甲板員の両親が「国のおろそかな検査が事故の原因だ」として賠償を求めた裁判が始まり、国側は争う姿勢を示しました。
去年4月、知床沖で26人を乗せた観光船「KAZUI」が沈没した事故では、国の運輸安全委員会のこれまでの調査で、甲板にあるハッチの蓋が密閉されていなかったため、海水が入り沈没したとみられています。
船の甲板員で亡くなった曽山聖さん(当時27)の両親は「国がおろそかな検査によって安全に航行できる能力がない船を事故の3日前に合格させた結果、事故が発生した」として、国に1億円あまりの損害賠償を求める訴えを起こしています。
きょう午後、東京地裁で開かれた第1回口頭弁論で、国側は「国は責任の主体ではない」として、争う姿勢を示しました。
閉廷後、両親の代理人弁護士は「裁判を通じて、事故がなぜ起こったのかを明らかにしたい」と述べました。