岸田首相(自民党総裁)は31日、公明党の山口代表、日本維新の会の馬場代表とそれぞれ会談し、政治資金規正法改正の自民案を修正することで合意した。自民は同日の衆院政治改革特別委員会の理事懇談会で、公明、維新の要望を反映した新たな修正案を提示した。両党が採決で賛成に回ることから、修正案は来週にも衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。
自民が示した修正案は、公明の要望事項のうち、〈1〉政治資金パーティー券購入者の公開基準額の「5万円超」(現行「20万円超」)への引き下げ〈2〉政党が議員に支出する政策活動費(政活費)の支出などをチェックする第三者機関の設置――などを盛り込んだ。維新が要望していた政活費の改革では、年間支出の上限額を定めることや、10年後に領収書などを公開する仕組みを早期に設けることを明記した。
首相は31日夜、首相官邸で記者団の取材に応じ、両党の要望を受け入れたことについて、「『法改正を今国会で確実に実現する』とした国民との約束を果たさなければ、政治への信頼回復ができないという強い思いから、思い切った、踏み込んだ案を提示する決断をした」と述べた。
公明と維新は修正案を評価しており、山口氏は首相との会談後、記者団に「首相の決断を大事にしたい」と語った。馬場氏も会談後、修正案への対応について「基本的には賛成する」とした。首相と馬場氏との会談では、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)についても、使途公開と未使用分の国庫返納を義務づける立法措置を講じることで合意した。
自民は5月17日に単独で改正案を提出後、29日には3年後の見直し規定などを設ける修正案を示したが、公明や野党から「不十分」との批判が出ていた。首相は、法改正に世論の理解を得るには、さらなる譲歩で公明と維新の協力を得る必要があると判断した。
特別委の石田真敏委員長(自民)は31日、修正案の採決を6月3日に行うことを一度決めたが、立憲民主党の反発を受けて取り下げることとした。立民は採決に応じる条件として首相出席の質疑を求めており、自民は3日までに対応を検討する。