JR東海は25日、リニア中央新幹線のトンネル掘削工事が行われている岐阜県瑞浪市 大湫 地区で井戸などの水位が低下した問題を巡り、周辺約7平方キロ・メートルの範囲で工事の影響を調べる方針を明らかにした。地質状況を調べ、河川流量の変化なども確認する。県環境影響評価審査会の地盤委員会で説明した。
水位低下の仕組みを把握するため30日から順次、ボーリング調査を実施する。地下水の流れのほか、断層や地質などを調査する。今後掘削する深井戸のための地質情報も同時に把握するほか、井戸から水を採取して継続的に水質調査も行うという。また、新たに浅井戸(深さ約10メートル)の設置に向けたボーリング調査を始める方針も示した。
一方、現地周辺の地表面の低下が進んでいる状況も報告され、8月末に比べ、最大1・3センチの沈下が確認された。今年5月に測定した時より最大3・7センチ、計3か所で2センチ以上低下したという。
中央新幹線岐阜西工事事務所の荒井潤・担当課長は「(工事の)影響の可能性も含めて検討しなければならない」と話した。
六価クロム検出地盤改良材原因 不適切な方法で保管
JR東海は25日、リニア中央新幹線・長島トンネル(恵那市)の新設工事現場付近に設けた観測用井戸で基準値を上回る六価クロムが検出された問題について、地盤改良材を不適切な方法で保管していたことが原因だったと明らかにした。
県などの発表によると、井戸水の4月分の水質検査で、地下水環境基準(1リットル当たり0・02ミリ・グラム)を上回る数値(同0・03ミリ・グラム)が検出されていた。
JR東海は調査の結果、資材などを置く施工ヤード内に六価クロムを含む地盤改良材を仮置きした際、雨水を防ぐシートの設置が不十分だったことなどが原因と結論づけた。雨によって六価クロムが溶出したという。今後、適切な保管方法を守るよう徹底させる。
また、県に報告が遅れた理由について、共同企業体(JV)と検査機関が基準値の取り扱いを誤ったと明らかにした。JVは土壌溶出量基準(同0・05ミリ・グラム)が適用され、検査機関は年間平均値が基準とされると、それぞれ誤認していたという。