神奈川県厚木市のパチンコ店の立体駐車場で20日に起きた火災で、119台もの車が燃えていたことが分かりました。なぜ被害はこれほど拡大したのか。21日午前、出火原因などを調べるため、警察や消防による実況見分が行われました。
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現場は神奈川県厚木市のパチンコ店「マルハン厚木北店」の立体駐車場です。発生当時の映像には、真っ赤に燃え上がる炎や周囲に響く爆発音が捉えられていました。20日午後3時頃、駐車場の2階部分にとめてあった車から出火し、同じ階のほかの車に次々と燃えうつりました。出火当時、2階部分には車134台が止まっていて、満車に近い状態でした。
車をとめていた人
「車が中にあるから入っちゃいけませんかと聞いたら、床が落ちるかもしれないから入っちゃいけませんと。車が心配ですよ」
火は約4時間後に消し止められましたが、駐車場の床や天井が崩落する危険もあるということです。
専門家は出火の原因について、車のバッテリーの不具合などから「発火」した可能性を指摘します。
市民防災研究所 坂口隆夫理事(元東京消防庁・麻布消防署長)
「バッテリーだとか配線関係のトラブル。そこからスパークが起きて火災になるだとか」
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炎の勢いはすさまじく、近所の住民が恐怖を感じるほど、火は一気に燃え広がりました。
近所の住民
「車が爆発したんだろうね、バンバンすごい音がした。怖かったですよね」
近所の住民
「さっきベランダに出たら、サンダルがちょっと“すす”だらけだったので足が真っ黒になったり」
そのサンダルには、真っ黒な“すす”がついていました。
近所の住民
「こんなにひどい火事だとは思わなかった」
現場近くのスーパーも、火事の影響を受けていました。
いなげや厚木三田店 田中徹店長
「“火がおさまれば”営業を継続できると思ったけど、どんどん火の方が広がってきて、それで営業を終了せざるを得ないと」
このスーパーでは「火事がおさまらないため本日の営業は終了」の張り紙を掲示、20日は急きょ営業を中止する事態になりました。
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火が燃え広がった原因について消防は、立体駐車場の構造に注目。2階部分が大きくあいているため風通しがよく、燃え広がったとみています。
さらに専門家は…
市民防災研究所 坂口隆夫理事(元東京消防庁・麻布消防署長)
「まず“初期消火”ができていなかった。満車状態だったら車と車の間隔はなかったと思う。火災報知機だとかついているわけですから、早く気がつけばこれほど大きな火災にならない」
この駐車場には、移動式粉末消火設備や自動火災報知設備などの設置が義務づけられていますが、今年4月の点検では不備がなかったということです。消防は出火原因を調べるとともに、火災報知機が正常に作動したのかを調べています。