小池百合子氏ブチギレ! 東京の税金を地方へ…総務省が「偏在是正措置」めぐり事前工作

小池百合子東京都知事が戦闘モードになった案件とは――。全国知事会を巡ってさまざまな臆測が流れている。今月、会長だった鳥取県の平井伸治知事が突然の退任を表明し、新会長に宮城県の村井嘉浩知事が決まった。一部報道で知事会と総務省の癒着が指摘されており、事態収拾のためともささやかれている。総務省と知事会は小池氏対策を練っていたともいうが、何が起きているのか。
「個人メモ・読後破棄」と注意書きのついた内部文書が複数のメディアで取り上げられている。総務省幹部と鳥取県、宮崎県の部長による懇談内容を記したもので、日時は6月2日。「知事会との打ち合わせ(夏の提言案等)」と題されていた。
テーマになっているのは偏在是正措置。簡単に説明すれば東京都など都市の税収を地方に再配分するもので、当然、東京都は反対している取り組みだ。懇談では東京都をいかに押し切るかが総務省主導で話し合われていた。
内部文書によると、総務省幹部が「どうしても知事会が偏在是正をやりたいとのことで作戦会議を持つこととなった、というテイでお願いしたい」(本文ママ、以下同)と“演出”を提案。総務省で作った提言案を宮崎県部長が作ったことにするよう打ち合わせ、さらに、「小池知事を前に偏在是正を主張するのは、相当力がいる」と小池氏を“仮想敵”とする発言もあった。都庁関係者は「小池氏の影響力や発信力を考えれば、総務省が警戒するのは当然でしょう」と話した。
これらのやりとりからは総務省が知事会を巻き込んで偏在是正を加速させたいという意向が見え隠れする。もっとも7月下旬に山梨県・八ケ岳で全国知事会議が行われ、偏在是正について話し合われたが、小池氏は「およそ明確なエビデンスに基づくものではない。是正すべき偏在などない」とピシャリ。強い反発を示した。
内部文書など総務省と知事会の癒着が一部で報道されたからか、平井氏は突然、知事会会長を1期目の任期満了で退任すると表明。霞が関関係者は「平井氏は総務省OBで2期目の会長続投は既定路線だったが、知事会と総務省の癒着が報じられたことで批判が高まるのを避けるために身を引いた」という。
また、その後に無投票で村井氏が新会長当選となったが、「平井氏と村井氏は今月7日に都内で会談をし、翌8日に平井氏は退任を表明した。総務省OBでない村井氏を会長にすることで“変わった感”を演出する狙い」(同)と会長交代にも演出があると勘ぐる声もある。鳥取県公式サイトでは確かに7日に両者が都内で面会していると公表されているが、会話の内容までは分からない。
小池氏にとって総務省との戦いは孤独な戦いとなる。前出の都庁関係者は「知事会では46対1になる。地方交付税の交付を受けていないのは東京都だけなので、大阪府ですら地方側に回ってしまう。だからこそ山梨で小池氏は理論武装して臨んだのでしょう。戦闘モードですよ」と指摘した。
偏在是正というが、「国がやりたい地方へのバラマキでしかない。だから総務省は知事会をコントロールしてまで偏在是正をやりたい。しかし、そのために都民の税金が奪われることになる。東京だって金が余っているわけじゃない。是正されるべき偏在がないという立場です」(同)。新会長の村井氏は偏在是正について前向きだという。「小池氏にとっては世論を味方につけることがカギでしょう」と都庁関係者。税収を巡る総務省VS小池氏の暗闘は続く。

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