今年1~7月末に京都府警が認知した特殊詐欺の被害件数が前年同期比13件増の116件に達し、被害額は同約3倍(約2億5千万円増)の約4億円に上ることが府警への取材で分かった。続発する被害に府警は、実際に犯人からかかってきた「予兆電話」の音声を公開するなどして被害防止を呼び掛けている。
府警によると主な手口は「預貯金詐欺」や「キャッシュカード詐欺盗」だ。いずれも警察官や銀行協会職員らを名乗り「キャッシュカードが悪用されている」など電話をした上で、被害者宅を訪問。カードの交換名目でだまし取ったり、あらかじめ用意していた別のカードとすり替えたりする。
予兆電話の認知件数も増加傾向にある。7月末までに府内では予兆電話が1500件(前年同期比489件増)確認された。
事態を重く見た府警は今月、実際にかかってきた予兆電話の音声を報道陣に公開。「あなた名義のクレジットカードで買い物をしようとした人物がいる」「個人情報が漏れて偽造カードが作られている可能性があります。銀行協会の方からすぐ連絡が行くようにお伝えしましょうか」。音声は、実在する有名百貨店の従業員を名乗る男から7月に京都市南区に住む女性(83)にかかってきたもの。初めに女性の名前を確認した上で、丁寧な口調で言葉巧みに女性を誘導しようとした。
約8分間のやりとりを記録した音声は府警ホームページでも公開されている。音声公開について南署生活安全課の松尾武課長は「具体的な手口を知り、実際に(予兆電話が)かかってきたときに気づけるようにしてもらいたい」としている。(木下倫太朗、荻野好古)