トランスジェンダーなどの性的少数者に配慮して公衆トイレなどで「ジェンダーレストイレ」の設置が進む。LGBTなど性的少数者に対する理解増進法では「ジェンダーアイデンティティーを理由とする不当な差別はあってはならない」と定めているが、差別の定義ははっきりとしていない。最大の問題は、女性だと自認する男性が女性専用スペースに入ることを正当化しかねないことだ。
実際に、トイレ内で不審な行動をしていた男性に「性自認は女性」と主張された場合、警察側はどう対処するのか。
警視庁幹部は「本人にトランスジェンダーといわれれば、(建造物侵入容疑などでの)現行犯逮捕は難しい」とみる。盗撮機材などの物的証拠がない限り、「調べを尽くす必要がある」という。
別の幹部の見方も同様だ。盗撮などの犯罪事実がなければ、対応した警察官が「周りの利用客が不安に思っている」などと説明し、その場から離れさせるしかないとみている。
この幹部が今後危惧するのは、警察官が「男だろ。出ていけ」などと決めつけ、トラブルとなることだ。「現場からどう対応すればいいかという相談は上がってきていないが、いずれは起こる。地域の警察官が苦悩するのが目に見える」と話した。