「やられる前にやった」“埼玉・会社社長刺殺事件”29歳容疑者を追い詰めた“金銭トラブル”《ラブホを転々とし、特殊詐欺に手を染めた過去も》

夜、人目の付かない会社の敷地内で逃げ回る男性を執拗においかけ包丁で刺し続けた男。あたりに住居は少なく、叫び声は届かなかっただろう。男性は腹などを深く刺され搬送先の病院で死亡が確認された――。
親に伴われて出頭した容疑者「やられる前にやった」
埼玉県警は8月30日、同県川口市の自称アルバイトの内田洋輔容疑者(29)を殺人容疑で緊急逮捕した。社会部記者が明かす。
「内田容疑者は前日の8月29日夜、三郷市内の運送会社の敷地内で社長の大川幸一郎さん(52)の腹を刺すなどし、殺害した疑いがもたれています。敷地には、至る所に血の痕跡が残り、凶器となった包丁も残されていたといいます。大川さんの遺体には抵抗した際にできたとみられる傷もあり、凄惨な犯行だったのでしょう。
内田容疑者は犯行から約1時間後に親に伴われて出頭し、逮捕されました。取り調べには素直に応じ、容疑を認めた上で『やられる前にやった』と供述。内田容疑者は大川さんの会社に雇用される予定もあったといい、警察は2人の間で何らかのトラブルがあったとみて捜査を進めています」
大川さんの会社「AKトランス」は高速道路のインターチェンジから近く、運送会社や工場などが多く存在している一角にあった。砂利が敷き詰められた敷地内にはプレハブ事務所のほか、無造作にトラックなどが停められていた。
就職予定だったという会社の社長をなぜ内田容疑者は殺害したのか。内田容疑者はこれまでに2度、特殊詐欺の実行犯として逮捕され、実刑判決も受けている。前出とは別の記者が明かす。
ラブホテルなどを転々としながら特殊詐欺行為を繰り返していた
「内田容疑者は2017年1月、共犯者らとともに高齢者に『かばんを紛失した。契約を締結するために現金が必要だ』などと、孫を装い現金をだまし取ろうとした詐欺未遂容疑で逮捕されています。
千葉県内のラブホテルなどを転々としながら特殊詐欺行為を繰り返していましたが、群馬県警の捜査員が突入し現行犯逮捕。大量の携帯電話や詐欺マニュアルなどが押収されました。
この件で懲役2年10カ月の判決が言い渡されていたんですが、出所から間もない2020年4月に今度は栃木県警に逮捕されています。この時期には、コロナ禍のための経済対策で国民に一律10万円が給付された。これに乗じて、市職員を装って『10万円を振り込む』『通帳とキャッシュカードを準備しておいて』などと電話し、給付金をだまし取ろうとした事件を起こしたのです」
「最近は彼なりに真面目に生きようと…」
詐欺での複数回の逮捕歴があるうえに、ついに殺人まで犯した内田容疑者。その人となりについて知人男性が明かす。
「過去にはどうしようもないことばかりを繰り返していましたが、最近は彼なりに真面目に生きようと頑張っていたようでした。それだけにこんな事件を起こしてしまい、驚いています。
詳細は聞いていませんが、被害者となった大川社長とは金銭面をめぐるトラブルになっていたようです。雇用する側であるはずの被害者が内田容疑者に強く金銭を要求していたという話もあります。もちろんどんなことがあっても殺人は絶対に許されるべきことではありませんが……」
果たして内田容疑者と被害者の間に何があったのか、捜査の進展が待たれる。
「週刊文春」では、今回の事件について情報を募集しています。文春リークスまで情報をお寄せください。
文春リークス: https://bunshun.jp/list/leaks
(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)

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