警察庁の女性職員が、滋賀県警から出向してきた羽田賢一警視にセクハラをされ精神的苦痛を受けたとして、羽田氏に550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は7日、請求を棄却した一審東京地裁判決を変更し、33万円の賠償を命じた。セクハラ行為と認定し、女性の抑うつ状態との因果関係も認めた。
三角比呂裁判長は、2021年の一審判決が羽田氏の一部言動を「違法行為とまでは言えない」と判断したのに対し、職場で風俗店のサービス内容などに言及したことを不法行為と認定。「女性はかわいいとか、やさしいとかあるやん。それぞれの特長を生かして仕事もせな」といった発言も「性差別的な一定の価値観を押しつけた」と違法性を指摘した。
滋賀県警によると、羽田氏は現在、生活安全部参事官。西島亨監察官は「個人間の訴訟のため、コメントする立場にない」とした。
判決によると、羽田氏は14年3月、警察庁に出向。同僚だった女性が15年1月、性的な発言をされたとして上司に訴えた。警察庁は調査の結果、セクハラがあったとして17年3月、公務災害と認定した。