秋本真利議員の地元「自分の利益だけ」「カネに目くらんだのなら許せない」…憤る有権者ら

洋上風力発電事業を巡る汚職事件で7日、衆院議員の秋本真利容疑者(48)(自民党を離党)が東京地検特捜部に受託収賄容疑で逮捕された。秋本容疑者がこれまでの衆院選で立候補してきた千葉9区(千葉市若葉区、佐倉市など)では、関係者の間に衝撃が広がった。約6000万円の賄賂を受け取ったとされる疑惑に、有権者らは「裏切られた」「許せない」など憤りの声を上げた。

千葉県佐倉市の閑静な住宅地にある秋本容疑者の事務所は7日昼頃、人影がなく静まりかえっていた。市内に住む女性(79)は「選挙で応援していただけに許せない。賄賂を受け取ったならば、自分の利益だけを考え、有権者を裏切る行為だ」と語気を強めた。
秋本容疑者は、洋上風力事業への参入を目指す「日本風力開発」(東京)側の依頼で国会質問をした見返りに、多額の賄賂を受け取った疑いで逮捕された。食品配達の仕事をしている千葉市若葉区の男性(52)は「表向きは『国のため』と言っているのに、カネに目がくらんだとしたら許すことはできない」と語気を強めた。
9区内の自民市議は「市民に不信感を与えてしまった。議員として恥ずかしい」と語った。

秋本容疑者は千葉県の富里市議を経て2012年に衆院千葉9区で初当選した。21年の衆院選では選挙区で敗れたが、比例復活で4回目の当選を果たしていた。
「脱原発」を掲げ、再生可能エネルギーの推進に熱心に取り組む一方、地元では普段、あまり見かけなかったとの声もある。千葉市若葉区の無職男性(69)は「千葉で立て続けに『政治とカネ』の問題が起きて、イメージが悪い」とため息をついた。

与野党は次期衆院選をにらみ、逮捕の影響を注視している。秋本容疑者は8月に自民を離党したが、桜田義孝・千葉県連会長は7日、読売新聞の取材に「あってはならないことで非常に残念。襟を正し、国民の期待を裏切ることのないようにする」と述べた。
立憲民主党などの野党は、批判を強めている。秋本容疑者と千葉9区で戦ってきた立民の奥野総一郎・千葉県連代表は、「再生可能エネルギーが『利権絡み』とみなされて、普及の妨げにならないか心配だ」と語った。共産党の小倉忠平・千葉県委員長は、「許されない重大な事件。千葉の自民は厳しい審判を受けるべきだ」と攻勢を強める。
千葉県の熊谷知事は7日、記者団に「政治不信が高まるのは事実だと思う。信頼と希望を感じてもらえるよう行動していかなければならない」と語った。

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