【キーウ=安田信介、ワルシャワ=工藤彩香】日本政府は9日午前、林外相がウクライナを訪問したと発表した。林氏は現地で、復興支援の本格化に向け、外務省に担当室を新設することなどを表明する。民間投資促進のため、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長ら企業関係者も同行した。
ロシアによる侵略以降、日本の閣僚がウクライナに入るのは初めて。岸田首相は今年3月に電撃訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と初めて対面で会談した。
今年秋には、日本で先進7か国(G7)外相会合の開催が予定されている。議長国の日本としては、改めて最新の被害状況を確認し、国際社会の支援拡大を主導したい考えだ。
林氏は8日午後(日本時間8日夜)、ポーランドの首都ワルシャワを訪れ、ズビグニェフ・ラウ外相と会談した後、ウクライナに向かった。
9日午前(日本時間9日午後)に民間人虐殺があったキーウ近郊ブチャを視察する。同日午後(同9日夜)、キーウでドミトロ・クレバ外相と会談し、共同記者会見を行うほか、復興を担当するオレクサンドル・クブラコフ副首相らとの夕食会にも出席する予定だ。
外相会談では、日本の支援を強化する「2国間文書」を取りまとめるため、交渉を開始することで一致する見通しだ。
林氏は来年初頭にウクライナ政府関係者らを日本に招き、「日ウクライナ経済復興推進会議」を開く考えを示す。外務省内に「ウクライナ経済復興推進室」を作って体制を強化するほか、不発弾を運搬するためのトラック20台の供与や、越冬支援策として、大型変圧設備2基を月内に届けることも発表する。
三木谷氏ら日本企業関係者は、政府や現地企業の担当者らと意見交換し、ニーズなどを聞き取る。
ウクライナ訪問に先立ち、林氏は9日、談話を発表し、「一日も早くウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するべく、国際社会と連携し、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援にしっかり取り組む」と強調した。