全国で相次いだ広域強盗事件のうち、1月に東京都狛江市の住宅で住人の女性が死亡した強盗事件の指示役だったとして、警視庁捜査1課は12日にも、フィリピンを拠点とした特殊詐欺グループのリーダー格とされる渡辺優樹(39)と今村磨人(39)、藤田聖也(39)の3容疑者を強盗殺人容疑などで再逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。
3人とともにフィリピンから強制送還された小島智信被告(45)=窃盗罪で起訴=も強盗殺人容疑などで逮捕する。小島被告はこれまで強盗事件に関与した容疑では逮捕されていなかった。
一連の広域強盗事件のうち、狛江市の事件は唯一、被害者が死亡したケースだった。各地で住宅などを狙った同じような手口の事件が相次いだことや、それらの関連性が注目される契機となった事件でもあり、発生から約8カ月で大きな局面を迎えることになる。
4人はいずれも狛江市の事件などが起きた当時はフィリピンの入管施設に収容されていた。しかし、警視庁は早い段階から、この4人が「ルフィ」や「キム」などと名乗って現地から指示をしていた疑いがあるとみて捜査を進めてきた。
事件は1月19日に発生。永田陸人被告(21)=強盗致死罪などで起訴=ら4人が狛江市の住宅に押し入り、住人の大塩衣与さん(当時90歳)をバールで殴って死亡させ、腕時計など4点(時価計約59万円相当)を奪ったとされる。
捜査関係者によると、同じ時期に入管施設にいた人物が警視庁の調べに、4人について「狛江市の事件について指示する様子を見た」などと証言した。実行役として逮捕された容疑者らから押収した複数のスマートフォンから4人の関与を疑わせるやりとりなども見つかったという。
また、実行役として逮捕、起訴された4人のうち永田被告を含む3人は、事件翌日に東京都足立区であった空き巣事件でも起訴された。警視庁はその後、渡辺、藤田、今村の3容疑者を足立区の事件に指示役として関わったとして8月22日に逮捕した。
足立区の事件を巡る捜査の過程で、警視庁は連続する形で起きた狛江市の事件についても渡辺容疑者らが関与したとの見方を強め、逮捕に踏み切る判断をしたとみられる。【木原真希、岩崎歩、菅健吾】