岸田首相は、首相補佐官に国民民主党前参院議員で労働組合出身の矢田 稚子 氏(57)を任命する方針を固めた。近く正式に任命する見通しだ。国民との政策連携の仲介役となることを期待しており、自民、公明両党の連立政権に国民を加える「自公国」構想実現への布石とする狙いがある。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。
補佐官としての担当政策は、賃金・雇用とする方向だ。政府・自民内では、国民が重視する政策を担ってもらうことで、国民との政策連携が促進されることへの期待が出ている。
矢田氏は、1984年に松下電器産業(現パナソニックホールディングス)に入社し、パナソニックグループ労連副中央執行委員長などを務めた。2016年参院選比例選で、連合傘下の産業別労働組合(産別)の一つ、電機連合の組織内候補として民進党(当時)から初当選し、18年5月に旧国民民主党に参加した。
昨年7月の参院選で国民から出馬したが落選し、今年7月に政治活動からの引退を表明していた。落選後は国民顧問に就任したが、今月8日で退任し、現在は労組の役職にも就いていない。
13日の内閣改造では、国民から1人を閣僚に迎える案が検討されたが、連合の反発などで調整は仕切り直しとなった。政府・自民は今後、国民との政策協議を進めていく方針で、国民や連合とパイプを持つ矢田氏の起用で、連携深化の機運を高めたい考えだ。