初の本社への強制捜査に揺れるビッグモーター。 会社の中では、社長が社員に直接現況を説明していた。
和泉社長が社員らに謝罪する様子も
ビッグモーター・和泉伸二社長: じゃあ皆さんお疲れさまです。 社員: お疲れさまです!
FNNが独自に入手した映像には、先週15日にビッグモーターの和泉社長が関東地方の店舗を訪れ、初めて顔を合わす社員らに頭を下げ、直接謝罪する様子が映っていた。
ビッグモーター・和泉伸二社長: まずは皆さんにね、本当におわびしたいと思って来ました。会社を代表して謝罪します。申し訳ありませんでした。
そして社員らに、次のように協力を呼びかけた。
ビッグモーター・和泉伸二社長: 力を合わせて会社の信頼回復に向けてね、頑張っていきますと心の底から思ってもらえるか。
購入キャンセルで50万円違約金請求
しかし、信頼回復にはほど遠いと思われかねないビッグモーター社員の言動が、取材で新たに明らかになった。
担当者: お客様の対応につきましては、これ以上こちらで対応いたしかねることでございますので。 利用客(Aさん): こちらっていうのはどちら…? 担当者: …(通話切断)。
担当者によって、一方的に切られた電話。 これは購入しようとした車をキャンセルした際にかかった費用について、疑問を訴える利用客とビッグモーター社員との電話のやりとり。
利用客(Aさん): 今までさんざん、こういうようなひどい対応されてきて、もうまったくもって誠意が見られないですよね。
事の発端は、約2年前。 Aさんの父親が車の購入を検討したことにさかのぼる。
この時、車を取り寄せるために書面を交わしたというが…。
利用客(Aさん): いろいろと内容を拝見したところ、不自然な点も多かったので、ちょっとこれはおかしいと父と話をして契約解除を(申し出た)。
購入を見合わせることを伝えたあと、車が届いていないのに、違約金50万円余りをビッグモーター側に要求されたという。
車を外部オークションで仕入れたことで、費用がかかったことが理由だと、ビッグモーター側は主張。
利用客(Aさん): まったくそういうオークションで購入したとかっていう話も聞いていなくて、向こうとしては、もうこれ以上のやりとりをまた長引かせると、営業妨害で訴えるとか。
特約事項に契約解除可能との記載も…
解約できないという強固な姿勢を前に、違約金50万円を払わざるを得なかったというAさん。
しかし、ビッグモーターの不正な手口が次々と報じられたあとに、あらためて契約書を確認すると、重大な事由があれば契約解除できるとの記載があったことに気づいた。
度重なる門前払いのあと、Aさんは当該エリアの責任者と電話で話をすることができたものの…。
利用客(Aさん): いつ、その解約できないと説明したんですか? エリア責任者: えっとその担当はお客様にですか? 利用客(Aさん): はい。 エリア責任者: そこの確認は取れてないです。ただ商談時には基本的には伝えている認識であります。 利用客(Aさん): そもそも、この特約事項に沿った形で対応されていないわけですよ。 エリア責任者: 同意を得たんです。 利用客(Aさん): 特約事項には…。 エリア責任者: 同意を得たんです!
Aさんによると、キャンセル料50万円が手元に戻るかどうかについて、まだ見通しが立っていない。
家宅捜索の日、和泉社長は意外な場所に
先週金曜日の15日、六本木の本社に警視庁の家宅捜索が入り、激震に見舞われたビッグモーター。
この日、和泉社長の姿は、なぜか関東地区のとある店舗に。 会社の現状や今後の方針を社員に直接伝えるための来店だという。
ビッグモーター・和泉伸二社長: きょう、本社の方にも家宅捜索ということで、警視庁と神奈川県警のほうが来られました。 当然100%そういったことにも協力をします。そこで受ける指摘に関しては真摯(しんし)に受け止めて、未来に向けて改善を図っていくという段階です。
そして和泉社長は、ちまたで言われていたスポンサー探しの件にも自ら言及。
ビッグモーター・和泉伸二社長: 信頼回復を果たしていくためには、今起きている信用毀損(きそん)をなんとか改善していかないといけない。 そういった中で判断したことは、外部の資本を入れるということで、会社の組織、または風土というものを一気に変えていきたいと。そういった行動を、われわれは今している最中になります。
関係者によると、和泉社長は別の店舗を訪れた際、店にいた一般客にも謝罪の言葉をかけたという。
現役社員は和泉社長の“謝罪行脚”に…
相次ぐ問題の発覚前、兼重宏一前副社長による「環境整備」点検の見回りが現場を震え上がらせたビッグモーター。
今度は、和泉社長自らが謝罪行脚として各店舗の見回りに意欲を示していることについて、ある現役社員は、FNNの取材に次のように話した。
現役社員: 見回りに来るとなって、以前の『環境整備』のように、店舗ごとで大掃除や出迎え準備に追われ、営業活動が正常に行われないことが実際にあります。本部の人が各店舗に実際に来ても圧力しかありませんので、本当に変わっていません。やめてほしいです。
さらに会社の現状について、「パワハラもまた以前の日々に戻って、数字が出ていなければ、罵詈(ばり)雑言の嵐が始まっています」とも話していた。
こうした中、19日、金融庁がビッグモーターと損害保険ジャパンに対し立ち入り検査を行う方針。 (「イット!」9月18日放送より)
※なお、本文中に紹介したAさんの件に関して、ビッグモーター側はFNNの取材に以下の通り回答した。 ビッグモーター側の回答: 通常、お客様へ車両を販売する際は、店頭に並ぶ自社在庫の車両をご注文いただくことが一般的ですが、当該お客様におかれましては、当社が新たに仕入れた車両を購入するという形でご注文を頂いておりました。オークションでの落札を経て、新たに車両を仕入れるため、今回はキャンセルを承れない旨をお客様に説明の上、ご了承いただいております。その上でキャンセルを希望されたため、該当車両の処理などにかかる実損分をキャンセル料としてお支払いいただき、ご契約者様とそのご家族も同席、同意の上キャンセルと致しました。