〈熱中症で倒れたピーポくん〉「機動隊よりキツイ」と警察官が吐露した着ぐるみ内の灼熱地獄…観衆からは「ウケでも狙ってるのかと思った」の声も

9月21日から30日にかけて実施される「秋の全国交通安全運動」に先立ち、警視庁昭島署と福生署が合同主催のもと、東京都昭島市のJR拝島駅で18日、交通安全イベントが行なわれた。しかし、イベントの最中に警視庁のマスコットキャラクター「ピーポくん」が熱中症で倒れるというアクシデントがあり、SNSには<ピーポくん大丈夫?>といった心配の声が相次いだ。着ぐるみのなかに入っていた昭島署員の女性は、警察署に戻ったあと体調は回復したというが、いったい何があったのか――。
「ウケでも狙ってるのかな?」と軽い気持ちで見てしまった
<ピーポくん、大丈夫かな…>9月16日の土曜日の午後、X(旧Twitter)には、このような心配の声が相次いだ――。

警視庁のマスコットキャラクター「ピーポくん」の身に予期せぬ”アクシデント”が起きたのは、その日の午後1時すぎのこと。警視庁昭島署と福生署の合同主催のもと、東京都昭島市のJR拝島駅で行なわれた交通安全イベントに参加していたピーポくんが突如、倒れこんだという。
ピーポ君(警視庁YouTubeより)
社会部記者はこう解説する。「その日は、『秋の交通安全運動』に先立ち『交通安全イベント』が行なわれていて、一日警察署長として元レスリング選手の浜口京子さんらとともに、ピーポくんは交通安全を呼びかけていた。しかし、拝島駅構内から駅前ロータリーに出てしばらく経ったころに、ピーポくんは熱中症で一時的に倒れた。中に入っていた警視庁昭島署員の女性は、警察署に戻ったあとに体調は回復した」交通安全イベントが開かれたのは、午後1時から2時までの1時間ほど。隣接する八王子市の最高気温は32,8度にのぼり、9月中旬にもかかわらず真夏日が観測された日でもあった。当日は、警視庁昭島署と福生署の署員のほか、交通機動隊や昭島市長も参加し、前半はJR拝島駅構内で交通安全を呼びかけ、後半は駅前ロータリーに移動するという流れ。その後半で、ピーポくんに”アクシデント”は起きた――。一部始終を目撃したという近隣住民はこう語る。「たしかロータリーでイベントがはじまって10分も経たないうちにピーポくんは倒れたんだけど、どちらかというと『倒れたというよりは転んだ』という感じで、てっきり『つまずいたのかな?』くらいに思ってたんです。すぐにお巡りさんが何人かで介抱してたんだけど、べつに着ぐるみの頭を外すような素振りもなかったから、まさか熱中症だとは思わなかったし、イベントに集まった人たちも心配するような雰囲気はなかったね。その日の夜に、ネットニュースで『ピーポくん熱中症』と書かれた記事を見つけたときはビックリしたよ」(50代・男性)「突然コロッと横向きに倒れたので、『まさかピーポくん、ウケでも狙ってるのかな?』と軽い気持ちで見ていました。その後も、着ぐるみの頭を外されずに、警察官にどこかに連れていかれたので気にしていなかったんですけど、まさか熱中症だったとは…。たしかに拝島駅前のロータリーは、道路側に出ると日を遮るような屋根もないし、その日はうだるような暑さでした。大事に至らなくて本当によかったです」(40代・男性)
拝島駅(撮影/集英社オンライン)
主催者側からしても、当日の”アクシデント”は予想外だったようだ。イベント関係者はこう眉をひそめる。「当日は『ピーポくん』の休憩用スペースも用意していたが、まさか9月にこんなに暑くなるとは誰も予想していなかった。イベントには学校帰りの高校生などのも多く、着ぐるみの頭を外しづらい状況だったのかもしれない。屋外のロータリーに出てから徐々に体調が悪くなったというよりも、突然倒れこんでしまったようだ」
過去には着ぐるみを着たアルバイトが死亡した事故も…
ではいったい、”ピーポくんのなかの人”にはどれだけの負荷がかかっていたのか。過去にピーポくんの着ぐるみのなかに入ったことがある警察関係者はこう語る。「とにかく暑いのもそうですけど、頭の部分が重くて、機動隊のフル装備よりも大変なんです。そもそも遊園地やレジャー施設の着ぐるみは業界全体で『暗黙のルール』があって被るのにも時間制限があるんです。でも我々は仕事柄、何分まで被ったら脱がないといけないといったルールも緩くて、『水分はこまめに取りましょう』と言われるくらいで…。しかも、ピーポくんって一度モデルチェンジしていて、新型タイプは丸っこくて小さめに設計されているので、自然と中に入る人も小柄な女性警察官になる、でかい男性警察官だとスネとかみえちゃいますしね 。さらにイベントだと出勤のシフトも絡んでくるから、より中に入る人が限られてきちゃうんですよ」ピーポくんの着ぐるみは警視庁広報課が管理し、複数存在し、必要に応じて各々の管内の警察署に貸し出すという。「それこそ熊本県の『くまモン』とか、彦根市の『ひこにゃん』のように自治体が管理しているマスコットキャラクターと違って、ピーポくんはなかに入る人も毎回バラバラだから暑さ対策がしづらいんです。そりゃ、何度も入ったことがあるベテランもいるけど、当然慣れていない人もいるわけでして…。今回ももちろん体力に自信のある署員を選んでいるはずだけど、こういった事情で事前の対策がしづらいので、勝手がわからないというのはありますよね」
ピーポくんが熱中症で倒れた当日の拝島駅ロータリー
幸い、今回のイベントで熱中症になってしまった女性署員は大事には至らなかったものの、「着ぐるみ」の中の暑さを侮ってはいけない。2019年7月には、大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」にて、キャラクターの着ぐるみ姿で勤務していた男性(当時28歳)が、熱中症で死亡した事故も起きている。「今回の一件以降、イベントをするにしてもピリピリしてますね。ピーポくんもその家族(ピーポくんには家族がいる)もこまめに休憩しています。そもそも、べつに着ぐるみを脱いではいけないというルールはないし、“マズイ”と思ったら脱いでもいいんですけど、今回倒れてしまった女性は、義務感のある人だったんでしょうね。警察官として弱っているピーポくんを見せたくなかったんだと思います。でも、今は昔と違って、脱いだからといって批判されるわけじゃないし、どこかの夢の国みたいに子どもたちの夢を背負ってるわけでもない。ピーポくんも我々も、中身は同じ警察官ですから…」(同上)今月21日から30日にかけて実施される「秋の全国交通安全運動」。ピーポくんには、都民の交通安全を呼びかけるとともに、自身の安全も気にかけてほしい。
※「集英社オンライン」では、今回の事件や着ぐるみにまつわる事故・トラブルついて情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected]X(Twitter)@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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