岡山市で2021年9月、西田真愛ちゃん(6)が虐待され死亡した事件で、母親の彩被告(35)と共に逮捕監禁致死や強要罪などに問われた同被告の交際相手、船橋誠二被告(40)の裁判員裁判の判決が19日、岡山地裁であった。本村暁宏裁判長は「誰からの助けも得られない状況の中、終わりの見えない虐待にさらされた被害者の絶望は察するに余りある」と述べ、懲役14年(求刑懲役18年)を言い渡した。
本村裁判長は「16日間にわたり連日連夜、数時間から6時間も鍋の中に立たせるなどし、虐待そのものを楽しんでいるようにも見える」と指摘。真愛ちゃんについて「恐怖のあまり子どもらしい無邪気さを失い、被告らが寝静まって真っ暗な中で一人立ち続け、椅子の上に置かれた鍋の中で寝てしまい落下した後も自ら鍋を置き直し再び中に戻るなど、その姿は哀れだ」と述べた。
真愛ちゃんは布団にくるまれる直前に大声で泣き叫ぶなど「精いっぱいの抵抗を試みていた」とし、「苦しみは想像を絶する」と強調。「被告は主体的に実行し、経緯や動機に酌量の余地は一切ない」と非難した。
判決によると、船橋被告は21年9月8~25日、彩被告と共謀し、岡山市内の同被告宅で真愛ちゃんを鍋の中に長時間立たせたり、口の中に指を押し込んだりする暴行を加えた。25日、全身に布団を巻き付けて押し入れに放置し、22年1月12日に低酸素脳症で死亡させた。
判決後に記者会見した裁判員の男性は、審理で虐待の映像を見て「今後忘れることはないのではないか、と思えるような心理的負担があった」と振り返った。
[時事通信社]