架空の売買で資金を動かす「循環取引」で約2400万円を詐取したとして、警視庁捜査2課は29日、詐欺容疑で、機械総合商社「東京産業」(東京都千代田区)の元社員、大山彰義容疑者(37)=東京都港区=を逮捕した。捜査2課によると、循環取引は平成29年~令和4年で約70件、総支出額は約37億円に上り、東京産業に8億円超の実損を与えたとみて捜査している。
逮捕容疑は令和4年3月、建築会社から工事現場の足場に使う資材を仕入れたという虚偽の請求書を提出するなどし、仕入れ代金として東京産業に約2400万円を支出させ、詐取したとしている。
捜査2課によると、足場の資材は資材販売会社に売却すると偽り、大山容疑者は虚偽の納品受領書も提出していた。建築会社へ不正に支出された約2400万円の一部はマージンとして建築会社が受け取り、残りは建築関係会社に送金。大山容疑者がほぼ全額を受け取っていた。
捜査2課は大山容疑者が循環取引を主導し、東京産業の業務で知り合った企業約20社を協力会社にしていたとみている。不正が発覚しないよう、多くの企業を巻き込み、循環取引を繰り返していた。不正に得た金の多くは大山容疑者に渡ったとみられ、借金返済やギャンブルなどに充てられたとみられるという。