自民党「減税」発言は本気か 「偽減税」「選挙目当て」批判噴出、支持率UPならず 「国民は騙されるな」と識者指摘

岸田文雄首相は4日、政権発足から2年を迎えた。低迷する内閣支持率の反転を狙い、新たな経済対策の取りまとめを急いでいる。岸田首相は先月、内閣改造・自民党役員人事を行い、減税案も含む経済政策を示したが、人事は刷新さに欠け、減税案も国民に直接還元する「所得税減税」や「消費税減税」「ガソリン税減税」ではないため、識者や野党から「偽減税」「選挙目当て」との批判が噴出した。物価高に苦しむ国民の視線は厳しく、支持率も反応しなかった。これに懲りたのか、自民党幹部から急に「減税」発言が相次ぎ、「所得税減税」に言及する声もある。財務省主導の岸田政権は本気で減税を実現するのか。
「税収増分を、ダイレクトに、減税措置などによって国民に還元することもあり得る」「増えた税収を最大限に活用し、国民に適切に還元していくのは当然のことだ」
自民党の茂木敏充幹事長は3日、月末をめどに取りまとめる経済対策に付随させる〝減税〟について、こう言及した。
同党の世耕弘成参院幹事長も同日の記者会見で、「岸田首相が『税の増収を還元する』と言っている。税の基本は法人税と所得税なので、当然、減税の検討対象になってくる」と語った。
党幹部の相次ぐ〝減税アピール〟は、岸田首相が先月25日に行った減税案を含む経済対策の発表が〝不発〟だったことも大きい。
岸田首相は「物価高に苦しむ国民に『成長の成果』である税収増を適切に還元する」と語ったものの、減税案は「賃上げ企業への減税策」「特許所得などへの減税制度」などで、国民に直接還元するものではなかった。
ただ、永田町では、20日召集の臨時国会に合わせ、「国会冒頭で衆院解散を打つ」との憶測が飛び交った。野党ベテラン議員は「減税方針さえ示せば、国民は岸田政権を支持すると考えたのだろう。国民をバカにした選挙対策だ」と憤慨し、警戒する声が浮上した。
その後、岸田首相が「2023年度補正予算案を臨時国会に提出する」と明言したことで、早期解散の憶測はいったん後退した。
10月に入り、自民党幹部が、さらに踏み込んで減税をぶち上げる状況に、「年内解散を諦めていない発信だ」(前出のベテラン議員)との警戒感は根強い。
確かに、岸田首相に近い森山裕総務会長は1日、「税に関することは『国民の審判』を仰がなければならない」と語り、減税が〝解散の大義〟になるとの見方を示した。
もう一つ、参院徳島・高知補欠選挙が5日、告示される。10日告示の衆院長崎4区補選と合わせて、「岸田政権の試金石」となるのだ。両補選は22日に投開票されるが、1つでも負けると「岸田首相で選挙が戦えるのか」という声が出かねない。

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