東京電力は5日午前、福島第一原発の処理水の2回目となる海洋放出を始めました。中国ではSNS上に“日本製品を避ける声”が上がるなど、再び厳しい視線が向けられています。1回目の放出の際には、国内の飲食店などに“嫌がらせ電話”が相次ぎましたが、今回はどうだったのでしょうか?
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5日朝、福島県いわき市の漁港に“常磐もの”と呼ばれる新鮮な海の幸が並びました。漁港では活気ある声が響く一方、漁師たちの不安はその“常磐もの”を育む海に…。
漁師・佐藤文紀さん
「1回目は特に注意してやると思うけど、2回目以降、大きなトラブルがないように計画通りやってもらえればいいなと」
5日午前10時18分、原発処理水の2回目の海洋放出が始まりました。
1回目以降、魚の値段に大きな変化はなかったというものの、漁師の佐藤さんは「心配は常にありますけど、食っていくため魚をとり続けないといけないので、今まで通りやっていく」と話しました。
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埼玉県春日部市内にあるラーメン店は、この日を複雑な気持ちで迎えました。
会津ラーメン和・西條剛店主
「『2回目の処理水が放出される』とニュースを見た時に“もしかしたら”っていうのはありましたね」
不安の訳は「電話」です。店主の携帯には、中国の国番号「86」から始まる着信履歴の数々が残っていました。1回目の放出以降、多い日は1日30件を超える“嫌がらせ電話”に悩まされてきたのです。
会津ラーメン和・西條剛店主
「罵声を浴びせられるので、恐怖ですよね。何か恨みを買うようなことをしてしまったのかなと」
その後、件数は減っていたといいますが、2回目の放出が報じられて以降、再び店に電話がかかってきたといいます。
会津ラーメン和・西條剛店主
「金曜・土曜・日曜日にちらほら電話があって、月曜日にもありましたね。火曜日がなくて、昨日また1件だけあった」
この1週間も、連日のように電話がかかってきたといいます。5日はまだ電話はないものの、西條店主は「もうかかってきてほしくないですね」と、不安がつきない様子でした。
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一方、処理水放出に対し厳しい声を上げてきた中国では、2回目の放出が始まると同時に速報で伝えるなど、早速メディアが反応し、中国のSNS上には“日本製品を避ける声”が再び上がりました。
5日に街で話を聞いてみても、「国際社会に対して非常に悪質な行為だと思います」「この件に対しては本当に怒っていますよ。(日本)観光してみたいと思っていましたが、もう行きたくなくなった」などの声が聞かれ、再び厳しい視線が向けられていました。
2回目の処理水の海洋放出は、5日から17日間ほどかけて行われる予定です。