パトカーを時速141キロで走行させたとして、長崎県警は6日、40代の男性警部補を減給100分の10(6か月)の懲戒処分とし、道交法違反(速度超過)の疑いで書類送検した。「ブレーキの性能を試してみたかった」と説明している。
県警監察課によると、警部補は離島の警察署の自動車警ら班に所属。6月20日午後10時45分ごろ、パトロール中に片側1車線の県道を時速141キロで約50メートル走行した。法定最高速度は時速60キロだった。サイレンや赤色灯を使用していなかったという。
同乗していた30代男性巡査長も運転を交代し、法定速度を超えたとして、減給100分の10(1か月)の懲戒処分を受けた。
警部補は同月23日のパトロールでも速度超過。同乗していた別の署員が報告し、発覚した。
元警察関係者は「パトカー乗りになるには、警察の自動車運転技能検定の普通技能検定に合格しなければなりません。心理適性検査もあります。もちろん、一般の免許より難易度は高いです」と語る。
警察官で心理適性検査も合格しているのに、なぜパトカーを飛ばしてしまったのか。
犯罪心理事情通は「車に乗ることで力を手に入れた感覚になる人はいます。そういう人は運転中、超過スピードを出すスイッチが入ってしまうのです。離島なので自分と同乗者を取り締まる警官がいないこと、オービスがないことを分かっていたのでしょう。一般の人はスイッチが入っても、警官が取り締まっている場所と分かっていれば、自制して運転しますが、その警官が自分自身だったら、自制がかけられないのかもしれません」と指摘する。
警察官ならば、車は走る凶器だとよく分かっているはず。「性能を試してみたかった」としても、公道でやってはいけないのは当然だ。米国などでは拳銃を手に入れた人が「力を手に入れた感覚になる」として事件を起こすこともある。警部補が「拳銃の威力を試してみたかった」とならなかったのが幸いだ。