会ったことのない女に約1億円だまし取られ「老後の生活のすべてを失った」 国際ロマンス詐欺の被害男性は

好意を利用してお金をだまし取る手口の犯罪「国際ロマンス詐欺」。
タイでは、およそ250億円を不正に送金させられたというケースもあります。
およそ1億円をだまし取られた被害者が語る、その手口とは?
逮捕された、名古屋市熱田区の会社社長、加古直秀容疑者(55)は2019年10月、犯罪による収益と知りながら、タイにある会社から自身が経営する会社名義の銀行口座におよそ8500万円を、通常の取引であるようにみせかけて入金させた組織犯罪処罰法違反の疑い、そして銀行に虚偽の理由を言ってその金を引き出した詐欺の疑いで5日朝に送検されました。
入金された金は、タイにある会社の経理担当者が「国際ロマンス詐欺」に遭い、不正に送金したもので、海外メディアによりますと、世界17か国の112の銀行口座にあわせて約250億円が送金されたということです。
加古容疑者の会社名義の口座には約5億5000万円が送金されていて、警察は加古容疑者が国際ロマンス詐欺グループの一員とみて調べています。
こうした詐欺の被害は東海地方でも…
(男性)Q被害額は?「約1億円。私の老後の生活を全て失った」
こう話してくれたのは、東海地方に住む60代の男性。マッチングアプリで知り合った「ももこ」と名乗る女にだまし取られたといいます。
(男性)「私は下の名前で呼んで、向こうはダーリンと」
「ももこ」は長年シンガポールに住んでいて、日本語が苦手だと話していたといいます。
SNSを通じて連絡を取り合っていましたが、ある日、「ももこ」からこんな提案が…
(男性)「ネットショッピングをやりませんかと。将来のことを考えて一緒にお金もうけをしたいと(言われた)」
(女性の声で再現)「ダーリンと一緒にネットショップを経営して、稼いだお金で好きな物を買いたい」
「ももこ」に誘われ、指定されたサイトに登録した男性。
しかし、実はこれ、“偽サイト”でした。
こちらが本来のECサイト。男性に送られてきたURLには同じような文字列ですが、最後にXがついています。
「ももこ」が提示したビジネスモデルはこうです。
まず、男性がお金を払ってアクセサリーやバッグなどを仕入れ、サイトに出品します。
注文が入るとサイト側が発送し、商品が届いたあとに注文者がお金を支払うと、その利益が男性に入るという仕組みです。
最初の仕入れ額は5万円。注文は順調に入り、1回あたりの仕入れ額は100万円、250万円とどんどん膨れ上がっていきます。しかし、男性のもとにお金はなかなか入ってきませんでした。
(男性)「カスタマーサービスに連絡したら、ある一定の金額を払えば今よりも優先的にユーザーに発送して、入金も早められると言われ、だまされて1000万入れてしまった」
自身の退職金や、15年以上かけて投資信託などでコツコツと貯めてきた老後の資金などをすべてつぎ込み、2か月で支払った総額は9980万円に上っていました。
(男性)「(ももこには)怒りしかない。手持ちのお金では生活ができない。同居の子どもに食費と光熱費を払ってもらっている。もともとの理想では別荘でも買ってのんびりと過ごす計画だった」
消費者問題に詳しい弁護士は…
(あかり総合法律事務所・岩城善之弁護士)「気を引かせてお金を出させるが、だます方は持っているお金を全部引き出させるまでやめませんから、全て引き出させたら1億あったということ」
男性は「ももこ」と会ったことは一度もなく、「ももこ」のLINEアカウントを調べたところ、フィリピンの携帯番号から登録されているとわかりました。
しかし、それ以上の特定は難しく、警察にも相談しましたが、「契約書など事件性を証明するものがない」と説明されたといいます。
支払先の口座にお金はほとんど残っておらず、全額を取り戻すのは絶望的な状況です。
(男性)「とにかく口座に残っているお金を1円でも戻して欲しい。それだけですね…」

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