36人が死亡、32人が重軽傷を負った令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などで起訴された青葉真司被告(45)の初公判が京都地裁で開かれるのを前に、一般傍聴席の抽選が5日午前、地裁近くの京都御苑内の広場で行われた。厳しい暑さの中、午前7時ごろから人が集まり始め、整理券の交付時間の同8時半ごろには長蛇の列ができた。
地裁は傍聴希望者に整理番号のついたリストバンド型の整理券を交付。外すと無効になるというルールを設け、当選した場合はさらにもう一枚、傍聴券としてリストバンドを巻くことで、本人以外には傍聴券を譲渡できないようにした。
注目事件の裁判では、一部マスコミが関係者を多数動員し、記者用に傍聴席を押さえようとする慣行がある。地裁は今回の対応について「多数の傍聴希望者が見込まれることを踏まえ、秩序を維持するため」とした。
また整理券の配布場所についても地裁敷地内ではなく、許可を得て京都御苑内の広場を使用する異例の対応をとった。
列に並んでいた堺市北区の大学1年、森光平さん(20)は両親の影響で京アニ作品に親しんできた一人。「(青葉被告は)なぜこのような事件を起こしたのか。自分のやったことをどのように思っているのかを聞きたい」。京都市北区の無職、中山寛二さん(78)も被告の動機に強い関心がある。「『京アニへの恨み』というが、どうして人を殺すことに執着したのか。(治療で)命をつないだ被告が、どんな説明をするのかがもっとも気になる」と話した。