ジャニー喜多川氏、生きていたら「執行猶予なしの10年前後の懲役刑」弁護士の見解

故・ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡って、ジャニーズ事務所の東山紀之社長、井ノ原快彦副社長らが10月2日に会見を開いた。
「会見の中でジャニーズ事務所から名称を『SMILE-UP.』に変更し、被害者への補償業務のみを行うと発表しました。被害者救済については、9月13日付で『被害者救済委員会』を設置。東山さんによると、同月30日までに478人から被害の申し出があり、325人が補償を希望しているようです」(スポーツ紙記者)
もしジャニー氏が存命中に性加害が刑事事件として立件され、裁判で有罪となった場合、おおよそどういった刑罰になるのか。弁護士法人ユア・エース 代表の正木絢生弁護士に話を聞いた。
ジャニー氏が生きていたら…弁護士の見解
「刑法176条の強制わいせつ罪や同177条の強制性交等罪が成立する可能性があります。法定刑はそれぞれ6か月以上10年以下の懲役、5年以上の懲役とかなり重い犯罪です。
それぞれ暴行や強迫などが必要とされていますが、ジャニー喜多川氏がどうやってわいせつ行為をしていたのか、個々の被害者毎に有無や程度を判断されてどの犯罪が成立するか決まります。また、被害者の年齢が16歳未満の場合は脅迫等がなくても犯罪が成立し得ます」(正木弁護士、以下同)
わいせつ行為があった時期も影響してくるよう。
「性犯罪全般については近年法改正が著しく、現在では不同意わいせつ罪、不同意性交等罪と罪名が変わっています。法律は、その犯罪行為時のものが適用されるため、犯罪時期によっては罪名が変わったり、犯罪が成立しなかったりします。例えば’17年6月に改正された強制性交等罪は以前、強姦罪と言いまして、こちらは男性同士の犯罪には適用されません」
別の法律に違反している可能性もあるそう。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反が考えられます。ジャニー喜多川氏の行為は、テレビ出演等の“見返り”などがあったと報道されていますので、これが事実であれば未成年に対するわいせつ行為自体は同意の上だとしても、同法4条違反として児童買春に当たる可能性があります。この場合の法定刑は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です」
まだ他の罪にも問われるかもしれないという。
「条例違反もあり得ます。都道府県毎に規制対象と罰則は変わるのですが、例えば東京都の青少年の健全な育成に関する条例18条の6は青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行うことを禁じており、その法定刑は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です」
どれだけの罰を受けることになるのだろうか。
「ジャニー喜多川氏が生きていた場合に成立し得る犯罪は、場所や相手の年齢、わいせつ行為への誘い方等によって色々なものが考えられます。その上で、今の段階でも325人が補償を求めるほど多数の犯罪の疑惑があったようです。
犯罪の数は勿論、その期間や繰り返し、立場を利用した発覚の阻止などは重く見られることでしょう。前科等がないことを加味しても、執行猶予なしの10年前後の懲役刑はあり得ると思います」
被害者への補償額は過去の判例などを前提に算定するとしているが、今回のケースで民事での賠償となると、どれくらいの金額になるのか。
「何をしたのかという具体的な部分が大事になるのですが、一人当たり数百万円から数千万円以上の金額になることもありそうです。今回の被害者の方の中にはかなり年が若い時に被害を受けた方もいると報道されていますので、精神的な部分の被害が大きいなど、後遺症が残ったと認定されればその分賠償額も高額になります」
実際にはジャニー氏はすでに亡くなっており、公訴時効が過ぎてしまっているものもあると思われるが、実刑も免れない“罪”が明らかになってきた。事務所は被害者たちに真摯に向き合って償ってほしい。
正木絢生代表弁護士 弁護士法人ユア・エース代表。慶應義塾大学法科大学院卒業。第二東京弁護士会所属。bayfm『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組『news イット!』(フジテレビ系)などメディア出演も多数。相談しやすい身近な弁護士。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。

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