羽田出発のトルコ機、誤って都心上空を飛行…東京タワー・築地場外市場・月島駅など経て東京湾へ

トルコの航空会社の旅客機が9月22日夜、羽田空港を出発した直後に正しいルートを外れ、東京タワー付近など都心上空を飛行していたことがわかった。安全な高度は保たれていたが、居住地への騒音を防ぐための正規の経路に沿っていなかったとして、国土交通省は同社に再発防止を要請。同空港を発着する航空各社にも注意を促した。
国交省によると、羽田発イスタンブール行きの「ターキッシュエアラインズ」199便は9月22日午後10時35分頃、羽田空港から北向きに出発した。国が定める正規の経路では、離陸後できるだけ早く東へ右旋回し、東京・お台場上空を抜けて東京湾沿岸を飛行する必要があった。
しかし、199便は離陸後、北西に向けて飛行し続けたため、管制官が右旋回を改めて指示。結果的に同便は▽麻布十番駅(港区)▽東京タワー(同)▽新橋駅(同)▽築地場外市場(中央区)▽月島駅(同)――などの付近上空を飛んで東京湾に出た。
国交省が設置している騒音測定器では、同便が品川区西品川付近の上空を通過した時間帯に最大83デシベルの騒音が観測された。
国交省の聞き取りに対し、同社は「離陸後、マニュアル操縦から自動操縦システムへの切り替えが適切に実施できなかった」と回答した。国交省は詳しい原因を調べた上で再発防止策を講じるよう、同社とトルコの航空当局に要請した。
読売新聞は同社の広報担当者に取材を申し込んだが、5日までに回答はなかった。
国交省は「羽田空港飛行コースホームページ」を開設し、1分間に1度受信している航空機位置情報に基づき、羽田周辺での航空機の航跡を開示している。9月22日の199便のデータは一部に欠落があり、当初は航跡を正しく表示できなかった。そのため、国交省は別のデータから当時の飛行状況を精査し、今月4日に実際の航跡を公表した。
航空機のルート逸脱を巡っては、羽田発パリ行きのエールフランス機が2018年10月、経路設定機能のセットを誤り、都心上空を飛行したことがある。

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