中国から不正アクセス 国内トップ企業のガラス技術を持ち出しか 容疑で兵庫の夫婦を逮捕

ガラス容器製造会社「日本山村硝子」(兵庫県尼崎市)のガラス瓶製造技術に関する営業秘密を持ち出したなどとして、兵庫県警生活経済課などは5日、不正競争防止法違反(営業秘密領得)の疑いで元社員、小鷹瑞貴容疑者(57)=同県芦屋市涼風町=と、妻で別会社の代表取締役、青佳(せいか)容疑者(51)=同=を逮捕した。いずれも容疑を否認している。
逮捕容疑は共謀し、平成28年6月28日午後7時5分ごろ、中国などから日本山村硝子のシステムにアクセスし、同社の営業秘密である軽量瓶の成形技術に関するプログラムを、瑞貴容疑者の私用メールアドレスに送信するなどしたとしている。
青佳容疑者が代表取締役を務めるガラス製造技術コンサルティング会社(兵庫県芦屋市)が不正に持ち出した情報を中国の別のガラス容器製造会社に提供し、平成28年から令和3年までの間にライセンス契約費として日本円で計約1億9千万円を得ていたとみられる。県警は、ほかの共謀者や秘密情報の提供先の有無などを調べる。
県警や同社のホームページによると、同社は国内のガラス瓶生産の業界シェアトップとされる。瑞貴容疑者は、平成15年に同社に入社。25年5月~29年7月まで海外チームに所属し、中国で技術支援契約に関する営業、通訳などの業務に従事していた。同社への情報提供や社内調査により、営業秘密を持ち出したことが発覚し、昨年11月に同社を懲戒解雇されていた。
県警によると、今回のケースの公訴時効は7年だが、両容疑者には時効が停止する海外滞在期間があり、逮捕に踏み切った。
日本山村硝子は元社員の逮捕を受け、「株主や取引先などに多大なる心配をかけ、おわび申し上げる。営業秘密の管理体制を一層強化し、再発防止に取り組む」とコメントした。

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