長野県塩尻市片丘の介護施設「ケアハウスえんれい」で昨年5月、入所者に薬物を服用させて死亡させたとして、塩尻署は11日、当時職員だった同県下諏訪町、無職望月大輔被告(40)(傷害罪などで公判中)を殺人容疑で逮捕した。同署は認否を明らかにしていない。
発表によると、望月被告は昨年5月28日、施設内で前田裕子さん(当時77歳)に薬物を服用させて殺害した疑い。この日は望月被告の勤務日で、翌29日午前8時頃、別の職員が亡くなっている前田さんを発見した。司法解剖の結果、死因は薬物中毒だった。
望月被告は前田さんの通帳を使用して不正に現金7万円を引き出したり、同僚の女性に向精神薬入りの飲み物を飲ませたりしたとして、窃盗や傷害などの罪で複数回にわたり逮捕・起訴されていた。
長野地裁松本支部で昨年11月に行われた公判で、検察側は、同僚女性に対して急性薬物中毒の傷害を負わせた経緯について、望月被告が自ら服用していた向精神薬の効果を確認する目的で犯行に及んだと主張。これに対し、弁護側は「責任能力がない。もしくは減弱した状態だった」として、責任能力を争う姿勢を示していた。