1971年に起きた「渋谷暴動事件」の裁判で、警察官を殺害した罪などに問われている中核派の大坂正明被告(74)に対し、検察側は無期懲役を求刑しました。
大坂正明被告は沖縄返還協定に反対する中核派メンバーの学生らが起こした1971年の「渋谷暴動事件」で、メンバーらと共謀し新潟県警の中村恒雄巡査(当時21殉職後警部補に昇任)を鉄パイプで殴り火炎瓶を投げつけ殺害した罪などに問われています。
きょうの裁判で検察側は大坂被告について「罪を免れようとする虚偽の供述で信用できない」と指摘。
「暴力革命の実現を目指した犯行動機は反社会的で悪質だ」としたうえで、「他に類を見ない残虐非道なリンチ殺人だ」などとして無期懲役を求刑しました。
求刑の後には傍聴人が「ふざけるな」と叫び、裁判長から退廷を命じられる場面がありました。
46年間の逃亡の末、2017年に逮捕・起訴された大坂被告は、これまでの裁判で無罪を主張しています。
半世紀前の事件で客観的な証拠が乏しい中、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立。
検察側はデモの参加者による「大坂被告が現場で殴っているのを見た」といった目撃証言を立証の柱としていますが、弁護側は「証言している参加者との面識はなかった」としています。
去年10月の初公判以降、デモの参加者や当時現場にいた元機動隊員らへの証人尋問が行われましたが、「覚えていない」「記憶にない」といった回答も目立ちました。
今年7月の被告人質問で大坂被告は、当日、デモには参加していたが途中でパトカーを追跡しデモ隊に遅れをとったと説明し、「警察官の殺害には関与していない」と改めて無罪を主張しました。
検察側から46年間の逃亡生活について「住むところや食事、光熱費など資金の工面はどうしていたのか。中核派が守っていたのではないか」などと質問されると、繰り返し「答えられません」と述べていました。
来週には、弁護側による最終弁論と大坂被告本人の最終意見陳述が行われる予定です。