秋田県内では19日、市街地でのクマの出没が相次いだ。北秋田市の中心部では通学途中の女子高校生など男女5人が相次いで襲われた。同日夕には同市で女子中学生がけがを負った。目撃情報も相次ぎ、関係者は警戒を強めている。
北秋田署によると、午前6時40分頃、同市鷹巣で散歩していた女性(81)が襲われたと119番があった。救急隊が現場に到着後、近くでけがをした別の女性(83)も発見した。午前7時頃には、約800メートル北のバス停で女子高校生(16)が襲われたと119番があり、午前7時20分頃にも近くで女性(82)が被害を受けたと119番があった。約4時間後の午前11時20分頃には、近くで男性(66)がクマに襲われたと119番があった。
北秋田市消防本部によると、女性(83)が左腕の骨を折る重傷を負ったほか、他の4人も頭や顔、左腕などをかまれたり、ひっかかれたりしたという。
北秋田市などによると、被害発生後に市街地北側の綴子川を渡り、山に逃げるクマ1頭が職員らによって確認されている。
クマが出没したのは、JR鷹ノ巣駅近くの中心商店街。女子高生が襲われた現場近くのガソリンスタンド店員(36)は「育てている山中の梨園が食い荒らされる被害で困っていたが、こんなところにもクマが出るとは」と話した。
JA秋田たかのす本店では、玄関のガラス戸1枚が割られているのを出勤した職員が発見した。クマによるものとみられ、同JAの担当者は「市街地に出没して気が気でない」と表情を曇らせる。北秋田市農林課の担当者は「鷹巣の市街地でこれだけけが人が出たのは初めて。降雪期を迎えるまで、この異様な状況が続くのではないか」と警戒を強める。
クマの出没を受け、現場近くの市立鷹巣小学校は休校となった。明石桂教頭は「集団登校などで安全に配慮してきたが、近くで被害が出て驚いている」と青ざめた表情で話した。
このほか、午後6時45分頃、北秋田市五味堀でも「妹がクマにかまれて出血している」と119番があった。女子中学生(14)が学校からの帰宅中にクマに襲われたとみられ、病院搬送時、頭部などから出血していたが、会話はできたという。
由利本荘市の中心部でもクマの目撃が相次いだ。由利本荘署などによると、午前7時半ごろ、同市石脇の民家敷地で木に登ってクリを食べるクマ2頭を住人が発見した。午後2時半頃には、同市八幡下の市道脇にクマがいるのを通行人が目撃。午後4時10分には警戒中の警察官が近くの八幡神社の杉に登るクマを発見した。
県警地域課によると、クマによる人身被害は52人。出没件数は18日時点で2327件、2790頭となっている。