愛知県東郷町の井俣憲治町長(57)が町職員にパワハラやセクハラをした疑いがある問題で、井俣町長は16日、町役場で記者会見を開いた。「私の不適切な発言で、職員や町民に多大な迷惑をかけたことを深くおわびしたい」と謝罪したものの、自身の発言がパワハラやセクハラに当たるかについては「当事者間と周りで評価がズレることもある」と明言せず、辞職については「現時点では考えていない」と述べた。
井俣町長や町関係者によると、町職員が10月、全職員約230人に実施した非公式のアンケートで、回答者72人の約半数が「町長からのハラスメントを受けた(見た)」と答えた。井俣町長は会議などの場で「死ね」「お前ら殺すぞ」などと発言したり、着ぐるみを着た女性職員に抱きついたりしたという。
会見の冒頭、井俣町長は「乱暴で軽率な言動により、心を痛めた職員に深くおわびさせていただきたい」と頭を下げた。自身の言動について「『アホちゃうか、死ね、殺すぞ』みたいな、お笑いの突っ込み的な軽いノリで、場を和ませる冗談や軽口のつもりだった」としつつ、「受け取る側からすると不快な思いをさせた。どのような場面でも今後は使わない」と述べた。
一方で、発言がハラスメントに当たるかは「発言の雰囲気や語気などがどうであるのかが重要」などとし、着ぐるみを着た女性職員に抱きついたことについても「誰が中に入っているか分からなかった。男性かもしれないのにセクハラだったと思っていない」と主張した。今後町が実施するアンケートや、設置予定の第三者委員会の検証結果をみて判断し、自身の責任についても考えるとした。
井俣町長は町議を経て2018年に町長に就任し、現在2期目。【藤顕一郎】