能登沖、複数の海底活断層が連動か 能登地震1カ月

能登半島地震は1日で発生から1カ月。震度7の地点はこれまで石川県志賀町とされていたが、気象庁が1月25日に輪島市にある震度計でも観測されていたと発表。これに象徴されるように、発生直後は不明な点が多かったが、専門家らによって断層の動きや隆起、津波の実態が判明しつつある。東北大の遠田晋次教授(地震学)は「3000~4000年間隔で発生してきたもの」との見方を示しており、多大な被害をもたらした能登半島地震のメカニズムと実態に迫る。
群発地震と関連も
政府の地震調査委員会は今回の地震について、半島北の沖合を沿うように走る複数の海底活断層が関連した可能性が高いとしている。これらは内陸側に傾斜する逆断層で、断層をはさんで南北から圧縮するような力がかかっていた。
能登半島周辺では令和2年ごろから群発地震などの地震活動が活発化。時期を同じくして東京ドーム23個分もの水が地中深くから半島の地下10~15キロまで上昇していたと考えられており、一連の地震活動との関連が指摘されている。
半島北側、最大4メートル
日本地理学会の後藤秀昭・広島大准教授によると、隆起は能登半島北側を中心に生じ、直線距離で約90キロ、範囲は4・4平方キロに及ぶ。最も規模が大きいとされる石川県輪島市の鹿磯漁港では、産総研地質調査総合センターが、約4メートルの防潮堤の隆起を確認した。
また、隆起が顕著だった輪島市門前町の空中写真(国土地理院撮影)で、平成22年5月8日と今年1月11日を比較すると、海岸が陸地化していることがよく分かる。
近い・早い・続く
土木学会の由比政年・金沢大教授は「近い」「早い」「続く」をキーワードとして挙げた。最大遡上高が4~5メートル規模となった津波は震源に近い石川県珠洲(すず)市だけでなく、富山湾内の水深の深いエリアを高速で伝わり、新潟県にも短時間で到達。富山県にも海底地すべりの影響とみられる津波が先行した。
一方で、能登半島北側の遠浅の海底地形や島によって津波は複雑に伝播し、最大波到達が1時間半後の地域もあった。
また、地震で地盤が隆起した輪島市の一部などでは津波による浸水は確認されなかった。
津波のシミュレーション
東北大の今村文彦教授らは、震源と推定される海底活断層の情報と海底地形のデータを組み合わせて日本海に津波が広がる様子をシミュレーション。赤は潮位の上昇、青は低下を示す。津波はおおむね1分以内に珠洲市に到達し、能登半島周辺の各地に繰り返し押し寄せていた。
「東北大学災害科学国際研究所動画チャンネル」で表示された日本地図をクリックすると動画がご覧になれます。

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