香港に設立した資産管理会社の所得を巡り、東証スタンダード上場の大手パチスロ機メーカー「ユニバーサルエンターテインメント」(UE、東京)創業者の岡田和生・元会長(81)が、東京国税局から2020年までの3年間で約50億円の申告漏れを指摘されたことが関係者の話でわかった。外国法人を用いた租税回避を防ぐ「タックスヘイブン対策税制」に基づき、資産管理会社の所得の一部を個人所得と合算して申告すべきだったと判断された。
同税制は法人に適用されるケースが大半で、個人への適用は珍しい。所得税の追徴税額(更正処分)は無申告加算税を含めて約27億円で、岡田氏は処分を不服として国税不服審判所に審査請求したが、23年末に棄却されたという。
関係者によると、香港の資産管理会社は10年に設立され、岡田氏と親族らが株を持ち合ってきた。総資産は11年時点で約1000億円相当に上り、利息などで多額の収入があったとみられるほか、UE社株を取得して親会社となりUE社から配当も受け取ってきた。
同税制は、日本法人や日本居住者らが計50%超の株を持つ外国法人について、現地での法人税負担割合が20%未満で、事業実態がない場合などに適用される。香港の法人税率は日本(約29%)より大幅に低い約16%で、同国税局は資産管理会社に事業の実態がないとして、同社の所得のうち岡田氏の株保有割合(約46%)分に相当する約30億円は日本で申告すべきだったと指摘したという。同社から岡田氏個人への配当分も合わせ、申告漏れ総額は約50億円とみられる。
読売新聞は弁護士などを通じて岡田氏に取材を申し込んだが回答は得られなかった。UE社は「岡田氏は現在は当社と関係がない」とした。